第21話 オジジ様

それからクリスマスが来て陽向汰はオジジの住むイギリスへ向かった。

約13時間かかってやっと到着

イギリスは今パントマイムシーズン

何時もなら劇場へと足を運ぶが今年はトンボ帰りだ友人達にも帰る事は話していない、国内のトンボ帰りとは話が別、オジジとクリスマスを祝う為だけの帰省だ。


イギリスもクリスマス一色で街は賑わっていた


空港を出ると赤いひと際目立つ ポルシ〇

陽向汰は真っ直ぐその車に近づいた。


「陽向汰久しぶり」

窓がツイーット開いて懐かしい顔が見える彼は独身で同い年、今年から新事業を始めている若きCEOだ、有難いことに俺らは爺さんの後ろ盾があり事業もサクサクと進む


「おう、葵元気していたか❓」

彼に、たがわずイトコの何人かは此方の爺さんが会長を務める本社に入社している。


俺と彼は爺さんの事を親しみを込めてオジジと呼ぶこれは2人にだけ許された呼び方だ

何故なら後継者は俺か彼と決まっているからだ事業を広めるのは2人にしか許されていない、別に俺は執着していないし困った事に彼も同じだから俺達は仲がいい


あとはじいちゃんとか、じい様とか

自分の気に入った呼び名で呼んでいる、


倉科家を継ぐのは父の弟の息子葵と直系の俺だ、後父の妹、姉はオジジの会社の役員か、嫁ぎ先の起こしている会社の跡継ぎ、勿論オジジも

融資している、株を握って何かあったら大丈夫なようにしている

クリスチャンのオジジは争いを好まない。



そんな爺さんの家は町外れにある目を引く一軒家だが近所には普通の老夫婦の住居と思われている

庭にはドーベルマンが3匹飼われていて独特の重たらしい声でワンワン吠えて迎えてくれる、今年も楽しみだ。


雪もチラチラ降り始めホワイトクリスマス、だが既に雪は積もっている。


本当は冬は苦手Www


この角を曲がると広い公園沿いに出てまっすぐ進むと高い高いトンガリ屋根が連なり十字架を掲げた教会がある。


オジジの通う教会だ

そしてさらに

進むとオジジの家がある。


モミの木は雪綿を被り一面真っ白だ

威厳のある木目のドアにはウサギ🐰ちゃんの可愛いリースが掛けてある

アンバランスだが孫や曾孫が作ったんであろうオジジの子供達への愛情が読み取れる昔からオジジは暖かい

人だった。



俺はドアを開ける葵も俺に続いて顔を覗かせる


「オジジだ、久しぶり

元気そうだね

オジジは御歳87だっケ?」

葵がつぶやく


オジジは白髪の髪を七三にセットして品のいい爺さんだ


「そんな歳とってない確か3か4だ!分からん幾つだっけ?」

オレが答える「しらん」


俺達は久々に会うオジジをみつけた。ハハハつい笑ってしまう。

背は気のせいか去年より縮んだように見える目は可愛くタレ目ちゃん

シワシワの目の回りは虫眼鏡をしないとどれか目か分からないWww


「おお陽向汰、葵」

オジジは両手を広げ俺と葵を

ハグして来る


オジジの歳を聞くと

「ハハハ歳は忘れる事にしとるぞそれより、おまえらの花嫁候補じゃ

みんな気持ちの優しい娘じゃ

家柄も太鼓判じゃぞ

この中から選べ」

と言うとゾロゾロと女の子がオジジ

の所へやって来た



「え"え"今の今ですか?

無理ですって」


10人並んだ娘達を見るどう見ても美人、可愛い系しかし

見るからにイギリス国籍


「なあ、陽向汰どの子がいいか?

それとも好きな娘が日本に

いるのか?」



「え、いやぁーそれは」


「ワシも歳じゃあ

曾孫を見たいんじゃよ」


「え?曾孫ならほら沢山いますよ」



ツリーで遊んだりゲームをしたり

ヨチヨチ歩きの やしゃ孫迄混じって遊んでいる

もちろん純日本人では無い

イギリスにいるのだから当たり前のハーフだ



「儂は陽向汰の子が見たいんじゃ

お前は本家の跡取りじゃからな」


イギリス在住までしていて日本の古き本家をもちだすのか?

小さき疑問が頭をもちあげる。


「・・・まあ、せっかくのクリスマスだからみんなと楽しく過ごすよ

オジジ様 メリークリスマス」


賑やかにクリスマスの夜はふけた、オジジは昨日教会のミサに行ったようで夕方にはもう眠りについた


「陽向汰よ

来年は陽向汰の嫁さんと一緒にワシもクリスマスを祝いたいもんじゃ 頼んだぞ」

そう言われて苦笑い

お婆様は少し困ったように言う



「こればかりは縁ですからねぇ

陽向汰、葵ごめんなさいね」

そう言って

白髪で綺麗なワンレンヘアな婆さまは穏やかにわらう。未だ話をつづけたいオジジを引っ張って、お婆様は部屋へ帰って行った。




「陽向汰」

中のいい葵がワインを持って近ずいてきてワインを差し出した

「この土地でできた

スパークリングワインだ美味いぞ」


「昔はイギリスではワインのぶどうの栽培が難しいと言われていたが

気候変動なのか美味しいワインが作れるようになったな」

葵はワイン作りに力を入れて何とか日本にも輸出、その動脈として倉科財閥を使いたいにちがいない



陽向汰は、クイッとグラスを傾けて手でグラスを扇ぎクンクンテイスティング

味も香りも申し分ない!


「美味いぞ!」

陽向汰がそう言うと葵はホッとした顔を見せた。


2人は気の合う従兄弟同士、これで取り引きは成功した、お互いにホッとした。


そして朝が来て葵は又陽向汰を乗せて空港へ向かった


「あーあ日本人は良く働くな

クリスマス休暇もないんだな」


「それな

俺も思った」

クスクスと2人は笑いあった


「またな陽向汰」


「ああ、葵も日本に来い

待ってるからな」


短い時間を過ごした2人は再会を約束して別れた。

同じ倉科の血を分け合った従兄弟同士気が合うのは当たり前かもしれない。



長い飛行時間をえて

空港からマンションに帰りながら考える、オジジの言葉が


"今度は陽向汰の嫁とクリスマスを祝いたい"



「俺未だ結婚は・・・考えて

ないんだよなぁ

30過ぎてからなら」

運転しながら呟く

ついミオのマンション前まで車を走らせた・・・ら


「もう、ミオ、ハッキリしろ」

ミオの後ろから男性が歩いていた


「は!ΘΔΘハァ」

俺は呆気にとられた

『まさかミオにオトコ?』

パニクリながらもただならぬ様子を見つめていた、長いトンボ帰りの疲れがぶっ飛ぶくらいビッくらポン。


男性はミオの前に回り込み

「俺と付き合ってくれ

返事はハイだろ‼️な、な」


そう詰め寄っていた


「アイツ何処かで会ったな

どこだッケ?」

ミオがどう出るか気になった俺はそのまま見続けていた、そして思い出した。



「あ、あいつ・・・は

去年のクリスマスに駅前で・・・」


アイツもミオを狙っていたんだ

マジか!

ミオももうすぐ30だ・・マッ!!マサカ……

俺は車を慌てて出た

呑気に高みの見物どころじゃない



「待て」

と声を上げた途端陽向汰の電話がなった葵からだ


「ど、どうした葵こんな時間にイギリスは夜中だろ」


葵は慌てながら


「どうした所じゃない

オジジが」


「ん?オジジがどうした?」

慌てふためく葵に陽向汰も

ただ事で無いとさとった。



「オジジが俺とお前の見合いを日本でやると言い出した

思い付いたみたいで今電話があった。」



「ヒ、ヒエェーま、マジか!

オジジもく、来るのかJapanに?」


「わ、わからんあの歳だし」


「イヤイヤ歳のわりには元気いいし ちょっと待て꜆꜄꜆キョロキョロ

アレ՞ ՞アレ 」


陽向汰が目を離した隙にミオと奴は

いなくなった焦る陽向汰


こんな大変な時に大変な話とは・・・

陽向汰は肩を落として車に持たれかかる


「アイツは誰だ💢

なんでミオの回りに居るんだ💢」


「もしもし陽向汰

おい陽向汰」

2人を見失った事がショック過ぎてつい葵との通話ボタンをOF


ミオが俺と違う男と連れ立つて居なくなった事がキツ過ぎる

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