第12話 性格最悪な不良たちをざまぁする
「なんだてめぇ、陰キャが調子のってんじゃねぇよ!」
豪大は起き上がると、充の目の前に突如現れた男子生徒――柏木 秋人へと殴りかかる。
しかしそれをいとも簡単に彼は片手で防ぐと、そのまま彼を放り投げてしまう。
「ぐあぁっ!」
豪大は吹き飛ばされ、再び地面に体を打ち付けられた。
「こんなくだらないことして、なにが楽しいんだよ……おまえたち、すぐにこれを弁償してもらうぞ」
秋人はそう言って充の壊れたスマホを拾い上げる。
「はぁ? てめぇいきなり出てきて調子のってんじゃ――ぐあぁっ!」
取り巻きの1人が殴りかかってくるが、秋人は豪大と同じようにその男を吹き飛ばす。
「それから、今までにも彼から奪ったお金があるなら全部返してもらう」
「ふざけんな、なんで俺がてめぇのいうことを聞かなきゃならねぇんだよ! 返すわけねぇだろうがよ」
豪大が睨みを聞かせるが、秋人は一切ひるむ様子もなく淡々と言葉を続ける。
「言っとくが、さっきまでの様子は全部録画させてもらった」
「「「……!?」」」
秋人がスマホを取り出し、動画ファイルを再生すると豪大たちの表情は青ざめる。彼が再生した動画には、彼らの暴力行為が明確に映し出されていた。
「おい、待ってくれ。コイツには仕方なく謝ってやるからよぉ。それを学校側に出すのはやめてくれよ。な?」
しかしまるで反省した様子もなく、今度は媚びを売り始める豪大に秋人はため息を吐く。
「これは犯罪だ。すぐに警察も来るだろう、さっき通報した」
「はっ? 警察!?」
学校に動画を提出されるどころか、警察という言葉を聞いてより一層怯える豪大たち。
彼が次の言葉を発するよりも早く、サイレンの音が近づいて来た。さらに周りには、生徒指導の教師や校長までもが集まってきていた。
「普通こんなことするかよ……ありえねぇだろ」
ゼンマイが壊れたおもちゃのようにブツブツと呟いている豪大を無視し、秋人は充の方へと向かった。
「すぐに助けてあげられなくて申し訳なかった……」
きっと動画を取っていて、すぐに止めることが出来なかったことを謝っているのだろう、と充は解釈した。
しかし彼はそんなことを責める気など微塵もなかった。まさか、こんなふうに助けてくれる人がいるなど、思ってもいなかった。
「あっ、いえ……とんでもないです。本当にありがとうございました」
それにしても、この人は何者なのだろうかと充は思う。
見た目は明らかに冴えない陰キャって感じなのに……行動も話し方も、決してただ者じゃない。
そう言えば、とふと思い出す。
(最近凛香ちゃんが、よく一緒に居る男子生徒と似てる様な……)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。