　翌日、俺はクリスマスイブという特別な日を誰と過ごすか決意ができていた。昨日までの迷いはない。今日という日を一緒に過ごすのは――舞さんだ。

　舞さんは年上なだけあって俺はいつも助けられてばっかりだった。でも、年が近いのもあって迷惑をかけたな、と思うことは一度もなかった。お姉さんとしてのリードに一種の安心感があった。

　俺は勝負服を着ると待ち合わせ場所である駅の東口を目指して歩き出す。今は7時40分。駅は近いから8時には間に合う。俺を待っている三人は7時前には家を出ていた。俺と出発時間が一緒だと誰のもとに行くかバレるからだ。いつまでも舞さんを冬の寒さの中で待たせるのも悪い。さて、少し早歩きするか。

　7時50分、無事待ち合わせ場所に着いた。しかし、みな一緒の考えなのか込み合っている。これは舞さんを見つけるのは苦労するぞ。次の瞬間だった。目の前で元気よく手を振っている舞さんを見つけた。

「君は私を選んでくれたのね。お姉さん、嬉しいな」

　舞さんの微笑みに、俺の心臓は鼓動が早くなる。

「当たり前ですよ。俺が一緒に過ごすのは舞さんだって心に決めていましたから。」

　俺は手を差し出す。デートと言えば手をつなぐのが普通だと思ったから。それに、たまには俺がリードするべきだろう。

「あれ、君は『今日は俺がリードしますよ』って思ってる？　そんな気負わなくてもいいのよ。今日もお姉さんがお世話してあげる」

　そう言って舞さんは俺の手を引っ張ると、腕組みをしてくる。舞さんの温もりがが伝わってきた。今日も遠慮なく舞さんにお世話になろう。今日はクリスマスイブという特別な日だが、普段通りが一番だ。これからも一緒に過ごす人なのだから。

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