時計なんて誰が作ったの?

アオイロノペン

第1話

時計なんか誰が作ったの

秒針はグルグル

目が回りそうだし

カチカチ鳴る音はまるで

時限爆弾のよう


でも時計がなかったら

君と待ち合わせするのに

なにを目印にするだろう

日が沈んだら会いましょう

それとも

月が出たら

それもステキだけどね


本なんて誰が作ったの

物語なんて

何の役にも立たないし

読み始めると

時間を食べちゃうし

人と話すのも

おっくうになるし


でも本がなかったら

昔のことなんて

誰が教えてくれるの

知らない人の気持ちを

どうやって想像するの

バスを待つときも

眠れない夜も

ただ膝に手をおいて

座っているしかできないの


誰が猫なんて作ったの

わがままだし

気まぐれだし

引っ掻くし

毛だらけだし


でも猫がいなかったら

人に話せないこと

誰に話したらいいの

寒い夜に

何を抱いたらいいの

さみしいときに指先は

何を撫でればいいの


人間なんて誰が作ったの

頭が良すぎるのかな

ケンカばかり

便利を求めて器用すぎて

自然を壊してばかり


でも人間がいなかったら

アイスクリームもなかったし

言葉も

本もなかった

強いものが偉くて

弱いものは

生き残れなかった

賢さも

優しさも

美しさも

音楽も

何の意味もなかった

これら全てを作り

これら全てを楽しむ

人には想像力が

人には思いやりがある

はずだよ

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