Love Game ー好きと言わせたら勝ち‐

波早間遼清

E p i s o d e .0

Romance

季節は秋。夕焼けの空。

校舎を出てすぐ、校庭の端で出くわす高二の男女。


男は立ち止まり、女を三秒の間見つめ続ける。

見つめられている女は、首を傾げる。



「……征也くん?」


「ん?」



何食わぬ顔で、男も少し、首を傾げる。



「どうしたの……?」


「あ、何でもないんだ。ただ、」



少し間を空けて、男ははにかむ。



「冬服、すっごい似合ってるからさ。

つい、フリーズしちゃった。」



女の頬が赤らみ、彼女は目を伏せる。


誰がどこからどう見ても、まさに告白の絶好機が男に訪れた、という情景である。



「ねぇ、征也くんは、私のこと、好き?」



そんな景色の中で、征也は困ったように笑った。



「僕は…。ごめんね。

自分から想いを伝えるのが、怖いんだ。

少しズルい言い方になっちゃうけど、

莉乃の気持ちから聞きたいな。」



莉乃は俯いたまま、不安そうに口を開く。



「私は…好き、だよ。」


「莉乃、もう1回、言って…?」


「征也くん、好きだよ。」

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