Creation World
蓮華
第1話 VR
VRとはヴァーチャルリアルティ・仮想現実の略で、1960年頃に開発されたとされている。
2015年頃には、多くの企業がデバイス型VRを発表するも、ことごとく倒れている。
その要因はコスト面の高さ、パフォーマンス不足と色々な要因がある中、一番の原因は機器の値段とコンテンツ不足とされている。
いわゆる一般家庭に普及させるには値段が高すぎ、機器によるコンテンツが圧倒的に少なかったのだ。
20XX年、大手ゲーム企業と医療機関が協力してアストラルダイブシステムを発表する。
アストラルダイブとは、精神潜行(せいしんせんこう)、つまり某人気小説で有名になったフルダイブのことである。
首の付け根で脳波をキャッチすることにより、VRのアバターを自分の手足のように動かすことが可能となったのだ。
しかしこの技術は脳波信号を受け取るだけなので、味覚・聴覚・触覚といった複雑な信号を受信する事はできなかった。
20XX年、このアストラルダイブシステムの登場により、一気に脳波技術が研究され、数年後VR内で基礎的な五感が共有される様になった。
これにより多くの企業がVR界に参入し五感共有力を高めていった。
数年後、多くの企業が自社のVR技術を発表し顧客戦略によって一人でも多くのユーザー確保に走った為、VR機器・サーバーの乱立が起こった。
これを危惧した大手企業達は、技術共有と謳いサーバーの共有化・技術提供を行い仮想技術連盟を発足。シェアシステムを開発した。
これにより、連盟に参加すればVR技術が提供され、中小企業でもVR界に気軽に参入できるようになり、乱立していたVR事業もシェアシステムによって管理・統合されていき、いつしかVR事業はシェアシステムに切り替わっていった。
そんな中ある企業がアナザーワールドシステムを開発・発表した。
いわゆる世界構築を謳ったシステムで、仮想現実世界を文字道理創り上げるシステムである。
簡単に言うと、仮想現実世界を作り、AIを育て管理・運営していくことで、第二の世界を作り上げようと言うシステムだ。
ただ、これには大きな欠点があった。
それは、莫大な費用と時間だった。
育成シュミレーションをやった事がある人ならわかると思うが、AIを人並みに育成し仮想現実世界に住まわせようものなら、どれだけの時間を費やさなければならないのかと。
発表当初は、VR業界も大いに盛り上がったが、時間と費用でいつしか下火になっていった。
だが、独自路線を走る企業は、数年後一本のゲームソフトを発表・発売する。
それが「Creation World」だ。
Creation Worldは疑似的宇宙空間を作り出し惑星を生成し仮想世界を創るソフトである。
独自で開発したマザーコンピューターにAIを管理・共有させることにより、自動生成されるAIの基礎レベルを高めていく事で、より効率的にAIの育成を可能とするものだった。
しかし、発表されたソフトウェアは数十万円、専用機器にいたっては数百万と一般家庭向きと言うよりは企業向けの値段だったのだ。
だが、創り上げた仮想世界を自社で買い取りをおこなう事を発表するやいなや、多くのユーザーがそれに飛びついた。
しかし、ソフトウェアのみを購入したユーザーは、圧倒的なデータ量にPCスペックが追い付かず、まともに起動することはできずにいた。
また、専用機器にいたっては情報量の多さに一人で処理できずに根を上げる人が続出した。
これに危機感を覚えた企業は、ソフト・機器を自主回収を行いデータの簡略化をおこなった。
これにより、ソフトウェアは月額課金制のクラウド版に移行し、専用機器はサポートAIの内臓を施した。
しかし、簡略化をおこなったとはいえ、圧倒的なデータ量に一般ユーザーはついていけずに、いつしか「シュミレーションゲームを作るシュミレーションゲーム」と言われるようになった。
そしてCreation Worldは一部のユーザーが創り上げた疑似世界を楽しむゲームとして普及していった。
そんな一部のマニアックなユーザーが俺だ。
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