23.5
ディスティニーワールドはやっぱ混んでるな。何処もかしこもアトラクションは何百分待ちだ。流石、運命の時を過ごすと言われている場所だ。
「お嬢様、何処行きます?」
『うーん……そうだな。お化け屋敷以外の場所なら何処でも良いぞ』
そう言うと、ヤコは佐藤一家と塩さんに伝えに行った。お化け屋敷だけは本当に駄目だ。暗くて怖くてトラウマ物だ。思い出すだけで泣きたくなってくる。
『だから、我は二度とお化け屋敷だけは行かない!』
そう高らかに宣言した。絶対に行かないからな。あんま言うのは辞めとこ。
「大丈夫、今日はお化け屋敷は行かないから」
本当か?疑いのジト目で佐藤さんを見つめると、笑顔が返される。なんか、怪しいぞ。
「そうそう、嫌がってる事はしないよ?だってマブでしょ?ヴァンちゃんとは」
『マブ?我が言うのもアレだけど、古く無いか?ギャルにしても』
アンモナイト系ギャルを狙ってんのか塩さんは。
《コメント欄》
・ギャルww
・マブいは確かに古いな
・今のギャルは何言うのか知らないから言えない
・俺、マジ卍か辛たんぐらいしか知らない。後ぴえん超えてぱおん。アセアセ
・ワイも二十歳のパツキンピチピチギャル美少女jkだけど知らんわゴメ
・おっさんはキッズルームで積み木積んでろ
・人生が詰んでるわ
・おじさんの同窓会を開くな
『で、結局何処行くんだっけ』
「あー、まずはメリゴーからのティーカップで茶しばいて、小腹にコーンを挟んで……」
『あれ、本部長さんは?』
「あー。パ……お父さんは、ヴァンちゃん探しで力尽きちゃってそこのベンチで休んでる」
佐藤さんが指差した場所には、仰向けのおじさんがいた。着いて、テンションが上がってしまったとは言え凄い申し訳無くなってしまった。なんかお土産買っていこう。
「お父さんには休んで貰って、私達でエンジョイしよう!今日は、この間のお詫びのために企画したんだから!」
『悪い思い出は、良い思い出で塗り潰す!が今回の企画だっけ』
滅茶苦茶良い企画だとは思うぞ。あぁ、フォローとしては最高だと思う。だけど……
「私らでハメたのに、フォロるのも私らってアレだよね〜自作自演でサイコホラー?」
「そ、それよりも早くアトラクションに乗ろう?ね?ほら、まずはメリーゴーランドにゴー!」
『お、おー!』
流されながらも、メリーゴーランドの場所へ行った。豊富なアトラクションのお陰か。メリーゴーランドはそんなに混んでなくてすぐ乗れた。
『なんか良いなぁ、子供に。童心に戻れるみたいな感じがする』
乗りながらそんな事を呟くと、コメントはツッコミだらけになっていた。
《コメント欄》
・※彼女は少女です
・カテゴリ的にはどっちなんだこれ
・ロリババアだって
・ロリだ
・可愛ければ何でも良い。ガワ良ければ全て良しって言うだろ
・知らねえよそんな言葉
『いやぁ、楽しかったなーあっという間だ』
次はティーカップか。メリーゴーランドと違ってこっちは混んでそうだ。
『質問返すぞー』
《コメント欄》
・来たか
・彼女になってください
・お家に来ませんか?
・パンツ!
・ぺろぺろ
・シャンプー何使ってますか
・その服って何処で売ってる?
『服はだな。適当に買ってきた物を血でコピーしてるし、買ったの結構前だから忘れたな。ごめん』
服がそんなに気になる物なのかな。まぁ、良いや。次!って碌な質問が無いな。
『……シャンプーはな、何かヤコが買ってきた奴。アレなんだっけ。なんか良い匂いの奴』
「ああ、フレグランス・シャワーですかね」
『あー、たぶんそれそれ。だってさ』
これで良いか。うーん、ちょっと言っとくか。
『あー、そうそう。あまりアレな質問をされても我困るからな。良い加減にしないと……』
少し、タメてからニヤリと笑って言葉を紡ぐ。
『この世界の人間全員吸い尽くしちゃうぞ?』
ま、血は吸えないんだけどな。いや、吸えなくは無いけど独特過ぎて嫌って言うのが本音か。
「もうそろそろ乗れそうですよお嬢様」
『あーい』
《コメント欄》
・吸われたい
・またこの世界に一人変態が増えてしまった
・でも確かに最近緩んでたから自重しようとは思う
・いつもゆるゆるなんだよなぁ
・姉貴は大変だなぁ
・だなぁ
それから、我らはポップコーンを食べながらワールド内を歩き回って楽しみまくった。
たのしかったですまる
『はぁ……いやぁ、楽しかったけど疲れたぁ』
「いや、分かるわー私もエナジー不足だからエナドリキメなきゃ駄目かも〜」
『うぐ』
「かわえ〜」
今気付いてしまったんだけど、塩さんは我を可愛い物だと思ってるって事?塩さんは可愛い物が好きで、よくそばに置いたりするけど。
我も良く抱きつかれて今もハグされてるけど。
『あ、アザス』
なんか前も言ったような気がするけど、塩さんにはなんかバブみ的な物を感じるような気がする。家庭的だからかな?後、やっぱり恥ずかしいから辞めて欲しい。嬉しいけどな?嬉しいよ?
(私だって抱きたいのに……)
『ヤコ、漏れてるって』
「へ?」
最近、我の中のヤコのイメージ像が変わってきているのはヤコには内緒だ。
「そろそろパレード始まるらしいし、行こうかシオ」
「へーい、席取った方が良かったかな……」
「フッフッフッフ!問題無しだよ、何故ならお父さんに頼んだから」
『あっ、お詫びの品的な奴買ってない!』
「あー良いって、別にありがとうって言うだけで喜ぶよパパは」
自信満々に言うけど本当か?
『そう言う物か?』
「うん、パパも今日を楽しみにしてたみたいだしさ」
「私もチョー満足かな。あ、アレかな?」
『もしかして……このまま行く感じ?』
《コメント欄》
・俺らはパレードどころじゃない
・百合の花畑vs運命の世界のパレード
・どちらも綺麗ですね
・そこに乱入する夜空の月
・月が綺麗ですね(錯乱)
・大胆な告白
・訳わかんない
・見所が多すぎる
・本部長変われそこ
『いやぁ、楽しかった。皆ありがとう!最高の日だった』
「お化け屋敷の事忘れた?」
悪戯っぽく佐藤さんが言う。
あ。
『……うん、大丈夫だ!』
本当に最高な日だ。今日と言う日が終わらなければ良いのにな!
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