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『いやぁ、此処はやっぱり広いなぁ』
「やっぱりって来た事あるのか?」
『前に一度な。あの時は酷い目にしか合わなかったが、どうやら此処はアレがアレらしい』
言葉が出てこなくなっちゃった。カッコつけようとしたら。良いや、もう。適当だ適当。雰囲気でそれっぽくしとこう。
「オレもだよ」
『?』
「オレも酷い目にあったんだ」
目の前の少年はそう繰り返した。まぁ、どうせ子供の酷い目にあったはアレだろ。飴落としたとか、風船飛ばされたとかか?後は転んだか。
まぁ暇だし聞こう、ばっとんに探してもらっている間暇だし。
『言ってみな、聞いてやるから』
「……今日久しぶりの母ちゃんの休みでさ、初めて此処来たんだけど、母ちゃんが」
『来れなくなったのか?』
「いや、父ちゃんも一緒に来たんだ」
『お、おう。良かったんじゃないのか?家族水入らずで楽しんだら良いじゃん』
親子三人で遊園地、良い思い出になりそうだ。我はそう思ったのだが、少年はそうじゃないみたいだ。
「見ず知らずのおっさんが、突然父親名乗って来た子供の気持ちにもなれよ!気まずくて居づらくて、気ィ遣って優しく接する感じとか色々出て無理なんだよ!」
『えぇ……そう言う感じ?』
それはそうだ。それはそうなんだけどそれを見ず知らずの吸血鬼の王(自称二百歳Over)を、捕まえて言われてもどうしろと。そこに気遣って欲しかったなー。
「ってごめん、急にこんな事言われてもアレだよな。ごめん、同い年っぽかったからさ。ついつい話しちまった。ごめんな」
謝る少年を諌めながら考える。なんか良い感じの言葉は無いだろうか。師匠はこう言う時はなんて言うかな。ギャンブルが楽しければそれで良いとか言いそうだな。
我なりのアドバイスの方が良いか。うーん。
『最初はな、何だって無理だと思うんだ。
いつでも聞くからと言って、手を出して笑った。そこに置かれたのは、スマホだった。
『?』
「ほらっ、早くQRコード読み取れよ!いつでも相談乗ってくれるんだろ」
『あっハイ』
それから少し雑談してから、ヤコと佐藤さんファミリーそれから塩さんが向かいに来た。因みに、我の自由は無くなってしまった。両手を掴まれてしまったからだ。
やっぱり遊園地の出だしでダッシュしたのは駄目だったか。
こうして我は迷子センターで出会った友と別れを告げ、遊園地を本格的に楽しむ事にした。
配信しながらな!
『えっと、えー何だっけ。えーっと……ハロー!我が血肉となる物達よ。我が名はヴァンパイアロード!』
なんか久々な気がするけど、気のせいかな。いや、なんか最近挨拶を端折ってた気がするしそうでも無いか。
『今日は遊園地に来たから遊ぶぞ!』
どんどんぱふぱふ〜!
《コメント欄》
・ニッコニコでくさ
・楽しそうで何より
・同じ場所でも前とは全然違うな
・前は酷かったからな
・質問コーナーやれ
・また外配信かよ。質問コーナーやれ
・つまんな
・ゴミ
『……』
そうだよなぁ、全員に愛されるコンテンツなんて難しいよなぁ。好きな人がいればその倍以上は嫌いな人もいるから諦めろって言われるけど……。
『まぁ。我は楽しみたいし、楽しんでもらいたいからな。アトラクション待ち時間とかちょっとした時間で、質問に答えるから良かったら質問してくれ』
《コメント欄》
・神
・優しい
・久々の質問コーナーだ
・何でそんな可愛いんですか
・何色のパンパンツ履いてますか?
・サングラス付けないんですか?
・趣味は何ですか?
・行きたい場所は何処ですか?
・吸血鬼って本当ですか?
・神じゃん
・クソ可愛い
『ッフフ。コメント早っwありがとー!』
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