22.5



『って事があって、そのせいで一ヶ月ぐらい配信休んだんだ。ごめんな〜』


《コメント欄》


・そう言う事だったのか

・最近寂しかった

・寂しすぎて夜も眠れんかった

・あっ眠れなかったんだ

・待ってた

・二億ってやばいな

・姉貴御勤めお疲れ様です!

・なんかヤバい人いるんだけど

・お前らもっと姉貴を褒めろ

・気のせいじゃねえな


『おっ、本当に見て来てくれたんだ!ありがとな〜!』


はろ〜と手を大きく振ってみる。まあ、返ってくる事は無いけどな。


《コメント欄》


・逝ってらっしゃいって事?

・可愛すぎて今の俺なら何処でも行けそう

・あ、本当?なら悪いんだけどGWに国外出張行って欲しいんだけどby本部長

・他の人に頼んでくれ

・本部長が行け

・言い出しっぺの法則定期

・泣いた

・コイツらやべえ……姉貴はいつもこんな奴等を相手にしてんのか

・初見のこの兄貴達は何者なんだよ

・説明求む


『ああーえっと彼らはカジノの人達だな。仲良くなって、なんか慕ってくれる様になった。もっと細かく言えばポーカーに勝った』


《コメント欄》


・?……???

・うんう……ん。うん?

・何でポーカーに勝ったらセットでおっさんが付いてくるんだよ

・どんなカジノだよ

・そもそも日本にカジノは無いぞ?

・渡米したんでしょ

・細かく言ってくれた筈なのに分からない。もうムリ。リス科なろ

・シマリス好き


『???』


え、何?何言ってんのこの人達。なんか喋んないとまずいか。え、えっと。


『だ、大丈夫?疲れたならゆっくり休むことも大事だと思うぞ。うん、我はそう思う』


《コメント欄》


・なんかトラウマ抉られた気がする

・っ

・やめて、やめてください

・コイツら怖いんすけど姉貴

・腫れ物を扱う様な優しさ。微妙に残る気まずさ、話しかけられた事に対して喜べば良いのか。それとも、罪悪感を感じれば良いのか迷いながら、襲い掛かる胃もたれに耐え切れずその場を後にした15の春。

・血迷って変な事言うな


『今日、もう辞めるか。なんか皆疲れてるみたいだし』


正直なんかついていけない。どうすれば良いのかさっぱりだ。


《コメント欄》


・俺らの事は気にすんな

・久々過ぎてハイになってるだけだからな

・一週間ちょいでハイになるなよ

・戻って来たって事は一週間で四億返したって事?

・どんなマジック使ったんだ?


そうだなぁ。そろそろカジノの話に戻さないと、アレか。よしっ。


『分かった。でも、具合悪かったら休憩したりして体調管理はしっかりな!』


注意喚起をしてから我は再び、カジノの話をし始めた。








「さぁ、何をやるか決めたら言え。そしたら

チップを渡すからな」


強面の男はズボンのポケットからコインを二枚取り出した。それがチップか。って二枚って、一人一枚?流石にケチ過ぎないか?


「成程……お嬢様はどうします?」


『ケチ』


「はい?」


『あっ……違う、ごめん。うーん、そうだなぁ何が良いか分からないんだよなぁ。トランプはババ抜きかインディアンポーカーぐらいしか知らないし、スロットもなぁ』


カジノではポーカーとかやってそうなイメージあるけどルール知らないし。後ブラックジャックとかか。


「ルーレットもありましたよ。それも結局運試しですが」


「私のお勧めは、ルーレットだよ」


師匠が目を輝かしてそう教えてくれる。なんか胡散臭く見えて来てしまった。


「一応、聞きますが何か必勝法でもあるんですか?」


そうヤコがししょーに尋ねる。すると、ドヤ顔でこう返って来た。


「無いよ、それが一番脳汁が出る楽しいだけ」


ダメだ、ギャンブラーすぎる。


普通こう言うのって経験者に従った方が良いのに、全く役に立たない。寧ろ腹が立って来た。


「このチップって一枚いくらに換金出来るんですか?」


受け取る時にさりげなくヤコは尋ねた。あ、確かにそれは大事だな。流石ヤコ!エラい!


「一枚、十万だが換金出来るのは十枚からだ」


そう教えてくれるおじさんに、成程と頷くヤコに我も意味深に頷いておく。その方がカッコ良いじゃんね?


「ふむ、ならブラックジャックで行きますかお嬢様」


『ブラックジャック?』


「ええ。先程ぐるりと一周した時に見つけたので。やってますよね?」


「ああ、やってる。場所はそこだ」


そう言われ、教えられた場所へと向かう。


『おやおや、これは珍しいお客様ですねぇ?こんな場所で麗しい美女達に出会えるとは』


そこにはスーツを着たジェントルメンなおじさんがいて、お辞儀をして出迎えてくれる。


「お世辞は結構です。そんなに持ち上げてくれるのなら、イカサマの一回や二回を見逃してくれませんかね」


「恐ろしい方ですねぇ。美しい薔薇には棘があるとは、まさにこの事だとこの歳で痛感するとは」


『……我薔薇じゃないぞ』


「お嬢様、比喩です比喩」


『ヒユ?』


駄目だ。気を引き締めてないと、普段は肉体に引っ張られるんだよなぁ。


?ヤコ?何だ突然。え?いや、それは。いや出来るけど。多分。分かった、やってみるよ。


「さぁ、ご歓談は此処までにしましょうか、ブラックジャックをお望みですね?」


「ええ、まずは手堅く行こうと思いまして……ちなみに此処違法カジノですよね?」


「まぁ、日本では賭博行為自体が禁止されているのでそうなりますね」


「成程、なら何やっても許されそうですね、助かりました」


「?まぁ、殺人以外ならやって貰っても構いませんよ。なるべくイカサマは控えて頂きたいですけど」


「お嬢様、


『あ、ああ。ホイ』


我はポケットからチップを取り出して渡した。


「ありがとうございます♪流石お嬢様ですね、それではやりますか」


ヤコはチップを少し嗅いだ後、ディーラーにチップを一枚差し出した。


それを受け取り、ディーラーがカードを配り始め漸くゲームが始まった。


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