たいら
















 あさがおあさがお踏んづけて

 トカゲを地面にたたきつけ

 活気な児らどもガラガラわらい

 しつけの親ども見ようともせず

 ばらばら足踏み自己顕示欲

 うずいてうずいて吐き出して

 無闇矢鱈におべっか舌を

 陽気な児らへと真似させてみて

 ぶしつけ親どもエゴのように

 手招きし始め死骸無視

 あれよあれよと日が暮れて

 夜暗の銀雨およぎだし

 けだるい親どもスマホにくらみ

 幼気いたいけ児らども配達待って

 あずまやのなかで墓ん暮ら踊り

 愛情たっぷり馳走に飢えて

 御影で作った水飲み場にて

 がぶりがぶりと喉置き動かし

 濡れ衣まみれが可哀想で

 わたしはそのとき知り得て踏み出し

 しつけのよろこび知り得て踏み出し

 おのれの説教とくと見よと

 17才のわかぞうだけれど

 集めたトカゲを両の手に

 無惨なあさがお添え置きまして

 なんですかこれと傘のなか

 みだら羞恥をぐぜのこころで

 無言のうったえ睨みつけ

 親らの憤慨もろともせずに

 無言でうったえ睨みつけ

 なんですかこれと両の手見せつけ

 無様な親ども変人見る目で

 きたないきたない発狂しだして

 それでもわたしが身を引かないから

 こわいこわいとあざけりだして

 わたしはあずまやあとにして

 あさがお花壇にその子ら埋めて

 それ見た児らどもただ墓ん踊り

 余計なお世話と知りも知りつつ

 届かぬものもあることを知り

 選択するのも児らどもの道と

 未来のどこかでふとよぎればと

 わたしは信じてほほえんだあと

 児らの親ども再び睨んで

 傘を閉ざしてなみだを隠し

 痛みを知れとやさぐれたふうに

 恥じらいもなく土ついた手を

 ももでぬぐったがささくれ痛くて

 ついつい泣きだし一歩も動けず

 親ども児を連れとっくに消えて

 ぽつねんとひとり取り残されて

 ただひとしずくもかばえずじまいに

 だれしも平等とはいかないこと

 こころの底からけたたましくも

 知りに知り得てふと正面から

 ただ愛しなさいと声だけ聞こえて

 いっそう光った銀雨のなか

 17の頃の銀雨のなか

 いのちの在りかの時のみぞ知る。















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