いろは歌と人生いろいろ?

神無月ナナメ

KAC20247

「いろはにほへとちりぬるを わかよたれそつねならむ うゐのおくやまけふこえて

あさきゆめみしゑひもせす」これは弘法大師である空海が作ったとされるいろは歌。


 あいうえお四十七文字すべて使用してひらがなを覚える習い歌として有名な詩だ。

その内容は仏教的な教えに基づいた形式で諸行の無常観を詠んだものとされている。


色は匂へど散りぬるを我が世誰ぞ常ならん

有為の奥山今日超えて浅き夢見し酔ひもせず


 咲くことを俳人は「色が匂う」と表現し日本人なら誰もが愛してやまない桜の花。

美しく咲き誇り潔く短命で舞い散る桜に人生を重ね無常を感じることから愛された。


 我が世とは自分たちが暮らすこの現実で常識人がどれぐらいいるかという意味だ。


 有為は「愛や憎しみなど形がないものを含めた現世に存在する理」すべてになる。

「浅き夢」は寝入りの直後は明確でも覚醒すると記憶を失う『はかない夢』のこと。



『花は咲いても散り人が生まれても死ぬ。永遠に不老で存在することはありえない。

無常とは生者の免れない運命であり因縁が生じる奥山を超え生涯を乗り越えなさい。


金銭や財産あらゆる煩悩を捨て去り生活することで苦しみ悩んで後悔もしなくなる。

人生小さな喜びを探しながら見つめることで日々を一生懸命大切にすごすしかない。


酔いで現実から逃げないようしっかり見つめて生きればその先に悟りの境地がある』



 昭和のころ人生いろいろなんて流行歌もあったし見る人の感じ方により色は違う。

いきなり方向が反転してすやすやと眠る美少女の緩やかに巻かれた茶髪を見つめた。


 ほとんどの日本人は黒に近い光が当たれば茶に映える髪が地毛だから染色だよね。

赤メガネの小顔で漆黒の長髪をもつ典型的な委員長タイプの美少女は地毛のはずだ。


 小柄な体格にそぐわない巨乳をもつ美少女は地毛が金髪碧眼のハーフクォーター。

大和民族より古くから三倍増しに凝縮された欧州王室の血脈を継いだ珍しい少女だ。



 それぞれ純粋な輝きに彩られた美しさで好意を寄せられる側の地味さは情けない。

二メートル足らずににょきにょき伸びた長細い身体に合わない凹凸を感じない小顔。



 せめて……服装や小物だけでも彼女らに見劣りしないような気遣いが必要になる。

中二病をこじらせてから黒中心にしたモノトーンばかり身につける典型的オタクだ。

 

「はぁぁ」なんとなくため息をつきながらちょびっとだけ先の未来をイメージする。

 おかしなことが起きてから周囲はイケメンばかりで誰も相談できる相手がいない。

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