拾陸:タイムリミット
「お前、後7日で決着をつけろ。」
「7日?何で?閣議決定でもあったの?」
「行政が顔を出すな」
「はっ、これは……」
内容を目視した瞬間、とてもとは言えないほど驚いた。
「健闘を祈る」
飛鳥瑠くんは手荷物旅荷物全てを持って退出した。
「何でこんなに、爆発物が?」
その紙には、学園の敷地と爆発物と思われる物の所在地が記してあった。爆発物は7日の時限式、人喰いが設置したという証拠もきっちり。
「後7日で殲滅しろと。」
少し焦りが隠せない。時限式爆発物をなぜ7日にしたのかは不明瞭だ。かといって人喰いをおびき寄せる術も無い。爆発物で殺す奴が自ら出てくるとも思わない。
――
あの
取り敢えず僕も退出し、錠を閉めた。寮室へ戻り武器の手入れをしようとすると、
「何だ、コレ?」
机に一つ銀色のアタッシュケースが置いてあった。
「金か?」
んな事があってたまるか。取り敢えずトラップに気を付けながら開けると、そこには分解された銃器が収められていた。
「対戦車ライフル?」
僕には見覚えがあった。幾時か前、惜しくも殉職してしまった同僚がたまに使っていたのがこのライフルだ。
「懐かしいね霧斗。
「取り敢えず組み立てて見るか。」
昔の記憶のまま一つのライフルに組み立てる。同封されていた弾も大きい。
「こんな兵器は使いたくないね。」
物騒だし直ぐに分解した。
「清、防犯カメラの映像に、爆発物を仕掛けたものはある?」
そもそも何かしらの証拠はあるだろう、ということで防犯カメラを見てみる。とはいえ、もちろん対策されてないなんて事は無く、
「予想はついたけど、全くもって無いね。学校の映像にはなんにも。上手い具合に細工がなされてる。」
細工?
「細工って、具体的に分かる?」
卓上電脳を出し、自分の目でも確認する。
「ループ映像としか思えない所が一つだけ。土曜の23時ぐらい?」
「本当だ、言われてみれば確かに。」
「でもいつ終わったかがよく分からない。何で終わり際だけこんなに細工が上手いんだよ。」
例の紙に記された場所を元に映像を観ると、やはり全てに細工がなされている。
「監視カメラにアクセスできるのって、誰?」
「確か、校長と教頭と教務だったはず。でも、教頭は職務放棄だよね。」
「教頭はバカンスだ。でも、これで判明した。黒いのは、校長と教務だ。」
校長。初老で禿頭なのが特徴。初日に最初に会った人物だ。
教務には会ったことがない。前情報だと、高身長でクールな女性ということらしい。
「そうえば霧斗、仕掛けた監視カメラは生きてるんじゃない?」
「それを早く言ええええええ!」
僕としたことが、まるっきり忘れていた。自分で仕掛けておいたのに。
電脳でデータを収集し、観てみる。
「霧斗、」
「ああ、」
「ビンゴ!」「ビンゴ。」
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