トラとの出会い
あっという間に6月になってしまいました。
時間というのは天使にも悪魔にもなるようで、前を向く力を与えてくれるとともに、悲しみと一緒に思い出までも風化させてしまいそう。
最後に撫でた感触を、いつまで覚えていられるだろう。
そういえば、最初に撫でたのはいつだったかな。
なかなか慣れてくれなくて、何年も威嚇されてたくらいだったからなあ。
今回は、そんなトラと初めて会ったときのことを書こうかなと思います。
東日本大震災が起きた2011年3月11日。あの未曾有の地震の日からほどなくして、我が家に1匹の野良猫がやってきました。小柄で、首輪をしておらず、荒れた毛並みを見れば間違いなく野良猫なのに、妙に人懐こいメスの猫でした。
足にすり寄って来て、頭を撫でてやると、目を細めて大人しくされるがままにしている。ガリガリに痩せていて、ろくにご飯も食べていないような状態に見えたので、家猫用のご飯を分けてもらって、庭であげてみました。
勢いよくガツガツ食べる食べる(笑)
いつでも食べに来ていいからね、と伝えて、その日はバイバイしました。
翌日、庭に行くと、その猫が出迎えてくれました。
たった一度の食事で、うちに居つくことにしたみたいでした(笑)
私が住んでいるのは関東の田舎で、野良猫が頼ってきたらそのまま家の外で飼ってしまう家が多い部落です。
一度外で飼うと決めたら、ご飯や糞の掃除などをきちんとして、まわりに迷惑をかけないお宅ばかりです。
うちも例外ではなく、来る猫拒まず、去る猫追わずの家です。
こうして、彼女もうちの一員になりました。
それが、トラの母親。
何カ月か後に、妊娠して、二匹の子猫を産みました。さすがに産まれたての子供を人間の前に連れてくるのは怖かったのか、どこかに隠れ家を作って、そこで育てていたようです。
母乳がいらなくなって、子猫と大人の中間くらいになった頃、子供を連れてきました。
「とりあえず手が掛からないくらいまでは育てたから、あとは飯の世話をよろしく」と言わんばかりに。
やってきたのは、
身体が大きく、白とグレーの斑模様のオスと、
母親と同じキジトラのメス。
メスの子供の方が、のちにトラと名付けた猫です。
(トラの母親と、兄or弟にも名前を付けていたけど、なぜか思い出せない……汗)
これが、トラとの最初の出会いです。
オスの子供の方は、母親と同じで人懐こくて、触らせるし撫でさせるし、なんなら人の手から直接ご飯を食べるくらいに警戒心ゼロでした。
トラは正反対で、ご飯を出している時ですら「カー!」「シャー!」と威嚇。当然、撫でさせるわけもありません。手なんか出そうものなら、容赦なく引っ掻かれたことでしょう。
こんな状態なので、最初はうちの家族からのトラの印象は悪かったんです。
人間の勝手な心情ですけど、懐く方と懐かない方なら、懐く方を可愛く思うものですから。
それから10年も経つと「何があった」と言いたくなるくらいにデレデレ猫になってくれたんですが(笑)
その過程はまた今度。
トラとの初めましての話でした。
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