はなさない父

 またあんなふうに言ってしまった。うまくいかないな。でも、子どもの命に関わることは、どうあっても強く止めたい。自由に楽しくさせてあげたい気持ちもあるけど、もし万が一のことがあったらと考えると、どうしても自分が抑えられない。他のパパたちはどうしているんだろう。君がパパを嫌っているのはわかっている。でも嫌われたとしてももう、あのときのように君を失いたくない。ちょっと見ていない間にいなくなってしまったお姉ちゃんのようには。だから、握った手も、君を見つめる目も、せめて心だけでも、もう離さない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

はなさない 伏見同然 @fushimidozen

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ