色による差

@curisutofa

色による差

『ジュウウウッ』


『『ぐうううううっ!』』


一糸纏いっしまとわぬ全裸にて、うつぶせの状態で身体を頑丈な金属製の器具にて拘束をされている、私と同年輩だと思われる少女の臀部ゲゼースに、ねっした高温の金属板を押し当てて焼印ブランドをしますと。猿轡クネーベルを噛まされて発言を禁じられている口から、激痛を感じていると伝えるうなり声が発せられました。


『一度刻印をした焼印ブランドは、私のような女魔法使マーギエリンいの治癒魔法ハイル・ツァオバーでも、完全に消すのは難しいのですね?』


私の問いに対して奴隷市場で新商品に焼印ブランドを刻印する担当者の殿方は、恭しく深々と御辞儀を行いまして。


『はい。御嬢様。仰せの通りで御座います』


帝国の君主であらせられる皇帝陛下から、男爵バローンの爵位を叙爵じょしゃくされた貴族諸侯の身分にて、御領地と領民を御治めになられていられます御父様ファーターから、トホター淑女マドモアゼルとして正式に認知をして頂けた女魔法使マーギエリンいでもある私は。瑠璃之青アツーア・ブラオの瞳で、焼印ブランドを刻印された激痛のあまり全身から大量の汗を流している、同年輩の褐色ブルネットの奴隷少女を見下ろしまして。


『この新商品は、止事無やんごとない身分の御方が、女性奴隷労働者スクラーヴェン・アルバイテリンの侍女に手を付けられた産ませましたが。御当主が急逝されたので、トホターとして正式に認知をされる前に奴隷身分の遺産として新たな御当主に相続されましたので。御父様ファーターが御治めになられていられる男爵バローン領の奴隷市場に売りに出された訳ですね?』


『はい。御嬢様。仰せの通りで御座います』


『ひゅうっひゅうっひゅうっ』


猿轡クネーベルを噛まされている口の僅かな隙間から、荒い息を漏らしている奴隷少女ですが。黒髪シュヴァルツ褐色ブルネットの肌色は、封建制度を政治体制に採用している帝国においては奴隷身分に数多く見られる容姿ですので。母親の女性奴隷労働者スクラーヴェン・アルバイテリンと、良く似た外見なのだと思われます。


『新たな御当主からすれば、亡き御父君が女性奴隷労働者スクラーヴェン・アルバイテリンの侍女に手を付けて産ませた異母妹いもうとは邪魔なだけですから。他家の奴隷市場に売りに出された気持ちは理解出来ます』


私のように金髪ブロンデス・ハール瑠璃之青アツーア・ブラオの瞳をしている容姿なら、正式に家族として認知をされても、貴族諸侯であらせられる皆様方の社交界で政略結婚の道具として使う価値がありますが。黒髪シュヴァルツ褐色ブルネットの肌色という、一目で奴隷身分の血が混じっていると解る色では、使いみちがありません。


『私は非常に幸運であると再認識をしました。帝国の君主であらせられる皇帝陛下から、男爵バローンの爵位を叙爵じょしゃくされている御父様ファーターに、トホターとして正式に認知をして頂けなければ。今頃は他家の奴隷市場にて、この褐色ブルネットの新商品と同様に、臀部ゲゼース焼印ブランドを刻印されていたかも知れません』


私による忌憚きたんの無い感想を聞いた奴隷市場の担当者の殿方は、再度恭しく深々と御辞儀を行いまして。


『御父君であらせられる御領主様は、私のような平民身分の領民にも寛大な扱いをされます、非常に御寛容ごかんような御方で御座います。御嬢様』


平民身分の領民から御寛容ごかんような御領主様だと敬慕けいぼされていられる御父様ファーターに、正式にトホターとして認知して頂いた淑女マドモアゼルの私も、男爵バローン家の息女として適切に振る舞う必要があります。


『この新商品は購入をさせてもらいます。袖振そでふり合うも多生たしょうえんと昔から言いますが。私が偶然奴隷市場を訪れた日に焼印ブランドを刻印されたのも、天による導きかも知れませんから』


御父様ファータートホターである淑女マドモアゼルとして相応しい、寛容かんような申し出をした私に対して。奴隷市場の担当者の殿方は、三度みたび恭しく深々と御辞儀を行いまして。


『御買い上げ頂きまして、心底よりの御礼を申し上げます。御嬢様』

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