お色直し
星之瞳
第1話
『挙式は白無垢で、披露宴は色打掛でやるのよ。解った!』
「解ったよ母さん。だけど、お色直しは俺たちが好きにするからな」
『なによ、あんな女と結婚許しただけでもありがたく思いなさい!まあいいわ、お色直しぐらい妥協しないとね。私に恥かかせるんじゃないよ!』
俺は電話を切った。母は
「大丈夫。白無垢と、色打掛はやって、お色直しはね・・・」俺がやろうとしているとを話すと、亜希の顔が明るくなり嬉しそうにうなずいた。
結婚式の日。いい天気。挙式は白無垢。そして披露宴は色打掛で行った。
「それでは新郎新婦お色直しに入らせていただきます」のアナウンスで俺たちは控室に戻った。
俺たちは着替えをし、披露宴会場の入り口に控えた。
「さあ、これから亜希のやりたいことをやろうね」亜希は頷いた。
「新郎新婦お色直しのご用意が出来ました、ご入場です。」
俺たちが会場に入ると「わー!綺麗!!」と歓声が上がった。俺はタキシード、亜希はウエディングドレスに身を包んでいた。手を取りあい会場のスクリーンの方に向かう。そこには教会の映像が映し出されていた。そう亜希が本当にやりたかったのは教会での挙式だったのだ。だからお色直しでそれを実現することにした。
教会の祝福の鐘が鳴り響く中、俺たちは祭壇へと向かい。お互いに誓いの言葉を述べ誓いのキスをした。祝福の拍手が鳴り響いた。
「それではキャンドルサービスを行います」アナウンスに従って俺たちは各テーブルを回った。それから、披露宴は順調に進み、招待客のお見送りをして閉会した。
「なんだい、そのドレスは、そんなの聞いてないわよ!恥かかせやがって」
「お色直しは好きにしていいって言ったのは母さんだよ」
「そんなこと言ってない」俺は係からスマホを受け取ると、電話の録音を流した。
「聞いての通りだよ。母さんボケたの?大体俺たちの事に口出しすぎなんだよ。白無垢と色打掛はやったんだ文句ないだろ!」
「お前は私の言うこと聞いていればいいんだよ。嫁の尻に引かれてそんなんじゃ先が思いやられるね」
「俺の一番は亜希だからね。これ以上口出しして、亜希を傷つけるなら、いくら親でも容赦はしない。あ、それと俺達とっくに婚姻届け出して夫婦になってるんだ。母さんに邪魔されないように先手を打ったんだよ。いい加減子離れしろよな。さ、亜希行こう」
顔を真っ赤にして何やらわめきたてている母を無視して俺たちは控室に戻った。
これから俺が守るのは亜希と将来生まれてくる子供たち。親を見捨てたわけではないが過干渉は御免だ。
「ありがとう」亜希がぽつりと呟いた。
お色直し 星之瞳 @tan1kuchan
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