(11)
「あ……あれ……ここは……」
「あの女の隠れ家の1つだ。ここに居りゃ、当分は安全だ、御主人様」
意識を取り戻した僕に、そう答えたのは……スナガの声。
「あ……あの女は……?」
「ああ、なんか、御主人様の義手や義足の材料を調達するとか言って、出掛かけてっただ……」
「じゃ、せ……聖女様は……無事……?」
「御主人様、何で、あんな穢らわしい雌白豚の事を気にするだ?」
「おい、スナガ……何を言って……?」
ボクは、寝かされているベッドから立ち上が……ろう……と……立ち上が……れ……う……うそ……。
そう言えば……こいつ……さっき、何て言った?
義手?
義足?
「あんな女……聖女様なんかじゃねえだ……最初から気に食わなかっただ……
や……やばい……何か……完全にやばい。
逃げ……逃げ……逃げ……。
「御主人様……手足さ全部無くしたんは気の毒だけんど……これからは、ずっと、オラが御主人様の世話さするだ。安心してけろ」
ええええええッ⁉
「これも、全部、あの聖女を名乗っとった雌豚のせいだ。怨むなら……あいつを怨んでけろ……」
「お……おい……お前……聖女様に何をしたッ⁉」
「ああ……1つだけ、御主人様に秘密にしとった事が有っただ。オラは……ウルクん中でも魔法使いや神官の部族『オダグ』……そん中でも、多分だけんど……この世界に、たった1人の純血ちゅ〜ヤツだ。人間の血は一滴も混ってねえだ。そのお蔭で……たった1つだけ、修行もせんと、魔法が使えるだ」
「な……なに……?」
僕は……「何を言ってるんだ?」のつもりで質問したんだけど……こいつは「何の魔法だ?」の意味に解釈したらしく……。
「
え……?
い……いや……待て……。
「や……やめ……やめ……やめろ……僕は、どうなってもいい……。だから……それだけは……」
「無理だ」
「何で? お前が……やめれば……」
「だから……
ええええ……。
ま……待って……待って……待って……理解が……追い付か……追い付か……。
「ああ……そうだ……。オラにとっても、あんな醜い雌白豚さ犯すんは……大変だっただ。その為に……オラ、媚薬さ飲んだだ……。まだ、その効力は……切れてねえだ」
お……おい……何を言って……やめろ……たしかに、聖女様の為なら、自分の人生が無茶苦茶になってもいい、って言ったかも知れないけど……こんな無茶苦茶は流石に想定外……。
「御主人様……最初に会った時から……大好きだっただ」
やめろ〜ッ‼
たすけて〜ッ‼
逃げ出し……反撃したくても……
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