(3)
ちょ……ちょっと待ってよ?
僕が……救世主?
でも……何をやれば……?
「とりえ〜ずは、オラ
「どう云う事?」
「まずは、この世界に過去に起きた事から説明せねばなりません。百五十年ほど前に、やはり、別の世界から転生された方が様々な種族が争っていたこの世界に平和をもたらしました」
「前にも……僕みたいな転生者が居たの?」
「ええ……その方は『弱きを助け強きを挫いてこその日本男子たい。義を見てせざるは勇なきなり。それが我が国のサムライたる者なら誰でも心得ちょる
「に……日本男子ぃ?」
「転生者様、その日本という国を御存知なのですか?」
「あ……あの……僕の……故郷です」
「なんつ〜ことじゃろ、この転生者様は……かつての偉大なる王テンノ〜ヘ〜カ様の再来じゃったとは……」
おい……白人版の僕の劣化コピー……誉めてくれんのはいいけど、何だよ、その「○○する5秒前」みたいな
あと、何だよ、その普通にマズい名前はッ?
「ちょ……ちょっと待って、何、その名前?」
「その偉大なる転生者『ナンシュー・サイ・ゴードン』様が最も敬愛されていた方の御名前だと伺いましたので……
「あ……そ……」
「転生者様……一体、その本来の『テンノ〜ヘ〜カ』という御方は、どのような……」
「あ……えっと……とっても偉い人」
「では、転生者様が、この世界における2代目の『テンノ〜ヘ〜カ』……」
「や……やめて、僕は、そんな名前で呼ばれるほど偉くは無いよ……」
「ああ……やはり、この御方は偉大なる『テンノ〜ヘ〜カ』様の再来でいらっしゃるぅぅぅ♥ 先代の『テンノ〜ヘ〜カ』様も同じ事を言われとったちゅ〜話だぁぁぁ♥ ここまで謙虚な御方が、傲慢な人間どもの仲間の筈はねえだぁぁぁ♥ ああ、それに、このお身体も、ナンシュー・サイ・ゴードン様の銅像にうり二つじゃぁぁぁ♥ この方こそ、人間に酷い目に合わされとったオラ
やめて、やめて、やめて、やめて、色んな理由で。
男が……それも、僕の駄目な部分だけを凝縮して白人男にしたような奴が……どう見ても、性的興奮しながら僕を
頬を赤らめるなッ‼ 涎を垂らすなッ‼ 鼻息を荒くするなッ‼ 目をうるませながら涙を流すなッ‼ 股間を手で押えるなッ‼
あと、そんな炎上しそうな呼び名を使うなッ‼
「しかし……大地母神様より不思議な力を授けられ、この世界に転生された……『テンノ〜ヘ〜カ』様が亡くなると……」
「どうなったの?」
「再び、諸種族の間で争いが始まりました……。特に……人間達から見下されていたにも関わらず、『テンノ〜ヘ〜カ』様より他の種族に比べて様々な恩寵を賜わった私どもウルク族への人間達の嫉妬は凄まじく……」
「そして……戦士の部族じゃったウェ〜イ族は……人間と戦う内に内紛を起こして、ほとんどが、ならず者か人間の手先になっちまっただ」
「更に、ウェ〜イ族の中でも最大派閥は、オダグ部族と巫女の部族を危険視するようになりました。その結果、オダグ族の長老達や賢者達は皆殺しにされ、オダグ族の若者達は魔法の才能を持ちながら修行する機会を失ないウェ〜イ達の奴隷になりました……そして……」
「巫女の部族は次々と殺されていっただ……。ウェ〜イの奴らも人間も……聖女様がこの世界にとんでもね〜災いをもたらすちゅ〜大嘘を信じてしもうただ。でも……聖女様を殺しても、巫女の部族が有る限り、次の聖女様が生まれる」
「しかし、もう、限界です。巫女の部族の生き残りも少なくなり……私が殺されたら、次の聖女が生まれる保証は有りません」
「でも……その……聖地に行けば……そんな状況を変える事は出来るの?」
「可能です。聖女とは大地母神様のこの世界における代理。そして……聖地は、大地母神様の力が最も強い場所です」
「えっ? どう云う事?」
「まだ、私は完全な聖女ではありません。しかし……私が、そこへ辿り着けば……この世界に百数十年ぶりに完全覚醒した聖女が誕生する事になるのです。大地母神様のそのものが、この世界に顕現されたも同じと言える程の力を持つ真の聖女が……」
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