「冬の大三角の伝説~星降る夜に☆彡」ジャンル:現代ファンタジー『星の伝説のストーリー』

第7話「☆彡星の伝説と女子高生☆彡」(公開日 2023年2月10日 12:22)

 冬の大三角、星の伝説から現代へ…

 17歳の星渡うららは、幼なじみと一緒に星を見ていた。

 すると、公園に小学生くらいの女の子が入って来て……

 星の伝説を調べて書きました。よろしくお願いいたします。

 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。










 冬の南の空に輝く、オリオン座の赤い1等星ペテルギウス。

 その左下の星空の中で1番明るい。おおいぬ座のシリウス。

 そして、ベテルギウスの左にある。こいぬ座の1等星プロキオン。

 この3つが作る三角形が、冬の大三角だ。



 むかしむかしの大昔、天にあるとある村にベテルギウスという、狩人かりうどの若者がいた。

 ベテルギウスは、年老いた父親と母親と住んでおり、狩りで生計をたてていた。

 ある日ベテルギウスは、天の鹿を仕留めに行こうとした。

 彼は2匹の犬を飼っていて、その日もお供に赤毛の大犬シリウスと、

 仔犬のプロキオンと共に出かけた。



 しばらく森の中を歩いていると水の匂いがしてきた。

 視界が開けた先に天をへだてる。大河天の川が現れた。

 鹿を仕留めに行くには、この川を渡らなければならなかった。

「うーん。まだ、小さいプロキオンは渡れないなあ。仕方ない。シリウスを連れて行こう!」

 ベテルギウスは、プロキオンを岸へ置いていき

 危ないので追って来られないように繋いで、たっぷり餌と水を置いた。



 ベテルギウスとシリウスは、後ろ髪を引かれるように

 プロキオンの様子を心配しながらも出発した。

 しかしそれっきり、仔犬のプロキオンは主人のベテルギウスと、

 父犬のシリウスとは会えなくなってしまった。

 プロキオンはいつまでも、いつまでも2人を待ち続け寂しそうに鳴いていた。

 今でもベテルギウス達は、冬の大三角のオリオン座。おおいぬ座、こいぬ座として

 空で光り続けているという。




 それから現代1月ここは、日本のとある公園。時刻は夜の20時30分。

 17歳の星渡ほしわたりうららは、星が好きで同級生の吉崎よしざきさとしと今日も夜空を見上げていた。

「うらら~? そんなに見上げて首が痛くならないか?」と聡が言うと

 うららは軽く微笑み「大丈夫、星が大好きだし。なれているから!」と言った。



「寒み~…」聡はベンチに座る。

「聡、風邪引くから。もう、帰っていいよ?」

「ばか、こんな寒い夜に女1人残して帰れるか」



「ありがと」

「まあ、付き合ってやるよ。ほんとにお前は、ガキの頃から星が好きだからな」

 うららは、寒そうに手をこすり合わせながら白い息を吐く。



「この時期は、(冬の大三角)が見えるのよ。私、その星座がなぜか1番好きなの」

「冬の大三角? 俺あんまり、星の事はわからんなあ」

 うららはふふっと、微笑を浮かべて星の伝説を話して聞かせた。

「ふ~ん…ちょっと、切ない伝説だな。その仔犬どうしたかな」と聞くと。





 彼女は、ブランコをこぎながら「待っているだけじゃ、寂しいもの。

 きっと、誰かが拾ってくれたわよ。」と少し切なそうに答えた。

 そろそろ21時になろうかと言う時刻に。

 うららと聡がコンビニで、暖かいお茶とたこ焼きを買って来て。

 


 公園のベンチで食べていると、この辺りでは見かけない可愛らしい10歳位の女の子が夜だと言うのに1人で公園の中に入って来た。

 2人が見ていると女の子と目が合い、うららと聡に近づいて来てにこっと笑いかけた。



「お姉ちゃん、お兄ちゃん。こんばんは! 美味しそうなたこ焼きだね!」

 聡は少し頭を下げ、うららはにこっと微笑み

「美味しそうでしょ。あなたも食べる?」と串にたこ焼きを1つ刺して、女の子に渡した。

「ありがとう。お姉ちゃん! おいし~!」

 と女の子は喜び。「お姉ちゃん達の名前は?」と聞いて来た。



「私は星渡うららよ」

「俺は吉崎聡だ。」と答えると女の子は、「あたしは赤井天子」と嬉しそうに答えた。

「天子ちゃんか~! ところでさ。何で、天子ちゃんはこんな夜に来たの?

 危ないよ。お父さんか。お母さんは?」

 と心配した聡がズバリと聞いた。



「あたしね…お母さん。ずっと、前に死んじゃって。

 お父さんもお友達もどっか行っちゃったの」と天子は泣き始めた。

「天子ちゃん…」

「天子ちゃん、ごめんな。変なこと言って。」とうららと聡は、天子を抱きしめて慰めた。



 天子は、しばらくして落ち着くと微笑みを浮かべた。

「聡お兄ちゃんとうららお姉ちゃん。優しいね!

 まるで、あたしのお父さんとお友達みたいだよ」

 うららと聡はこの子を警察に届けて、児童相談所に保護してもらわなくてはと思った。



「そろそろお家に帰ろっか! 送るよ。天子ちゃんお家どこ?」

 とうららが優しく聞くと、天子は空を指さした。

「お家はあそこ!」

 うららと聡は顔を見合わせ笑った。



「まさか~っ! 天子ちゃんは天使?」

「まだ、分からない?」と天子はべそをかきはじめた。



 その瞬間、うららと聡、天子は星空に浮いていた。

「うわっ! 何だコレー!? 俺達浮いてる!!」聡が混乱する。

「本当にびっくり! だけど。凄くキレイ…」

「これ、天子ちゃんがしてるの?」とうららが聞くと、天子はうなずいた。

「行っくよ~っ!」



 びゅわーん!



 3人は夜空を飛んで天の川に着いた。

 サラサラと無数の星くずが川のように流れている。

「――これは夢」とうららが問うと。

「夢じゃないよ! 思い出して。ベテルギウス! おっちゃん!!」

 と天子が両手を組んで祈った。

 その刹那、星くずがキラキラとうららと聡の周りを飛び。2人を包んだ。



「きゃあ~っ!」

「うわあ~!」

 2人は驚き慌てふためいて、顔をおおうと突如知らない記憶が脳内に押し寄せて来た。

 そこには大昔、狩人ベテルギウスだった頃のうららと、

 大犬シリウスだった頃の聡の情景が浮かんだ。



 そして、一匹の仔犬の姿が脳裏に浮かんだ。

「そうよ。私は…」

「俺は…!」

「狩人ベテルギウス!」

「プロキオンの父、シリウス!」

 一気に思い出したせいでうららと聡は、腰の力が抜けてヘナヘナと座りこんでしまった。



「やっと、思い出した? ベテルギウス! おっ父ちゃん!」

 天子はホッとしたように微笑むと、身体がキラキラと光り始めて。

 赤毛の仔犬の姿に変わった。



「ああっ! その姿は、プロキオン!」

「プロキオンちゃん!」

 と2人は驚いて、プロキオンの小さな身体をやんわり抱きしめた。



「おいら、ずっと、ず~っと。2人を待ってた。拾われて何かないよ!

 ずっと待って、天の川も渡れずに。力尽きたんだよ。」

「ベテルギウス! おっ父ちゃん! 寂しかったよぉ~」

 3人は抱き合いしばらく泣いていた。



 そのうちにプロキオンの身体が、キラキラとまばゆく光り始めた。

「なんだよ。これ…」聡が言うと、プロキオンは。

「うららと聡が思い出すまで、神様に力をもらったんだ。

 思い出して力を失ったから、この身体はもうじき消える。」



「消えないで! プロキオン」

「消えるな! プロキオン。俺達せっかく、会えたのに!!」

 と泣いて抱きしめるうららと聡に、プロキオンは頬にキスをして微笑んだ。



「大丈夫。おいらいつでも、うららと聡の側にいるから!」

 と言い終わると、星くずになってサアッと流れて消えた。









 ―――それからしばらく経ち……



 うららと聡は大人になり、結婚した。

 2人の間には、可愛い女の子が生まれ名を天子と名づけた。

「天子~」

「天子ちゃん。こっち向いて~」

 ベビーベッドに寝かされた、天子をうららと聡が呼ぶと。

 天子は、小さなもみじのような手でうららと聡の指を握って、嬉しそうににこーっと笑った。



 終わり


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 最後までお読みいただきありがとうございます。

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