ナンパされていた美少女姉妹を助けたら、お礼ついでにお持ち帰りされた
もんすたー
第1話 ナンパを助ける救世主に俺はなる
「ちょっと、やめてください!」
「私たち行くところがあるんです!」
休日の昼下がり、駅前を歩いていると俺、仁和寺壮馬(にんなじそうま)の耳には女子2人の嫌悪の声が聞こえてきた。
「お姉さんたち可愛いから遊びたいなぁって思っただけなんだけど~」
「俺達じゃダメなの? 絶対満足させられると思うんだけどなぁ」
どうやらガラの悪い連中にナンパをされているらしい。
ナンパなんて別に珍しいものじゃないし、気に掛けることでもないだろうと横目で見て通りすぎようとしたのだが、足が止まる。
「
俺の視線の先でナンパをされているのは、学校で人気の美少女姉妹である加菜と水瀬。
加菜は俺と同学年の高校2年、水瀬は一個上だ。
どちらも姉妹揃って絶世の美少女。ナンパされてもおかしくはない。
何事もなかったのように通り過ぎることも可能なのだが、
「しつこいですよあなた達! 嫌だって言ってるじゃないですか!」
「早くどこかに行ってくださいよ! 迷惑です!」
声を張って拒否するが、ナンパ男たちはその場から離れようとしない。さらにしつこさを増すまである。
それに、周囲の人は見て見ぬふり。
もし知り合いが居たら助けに入っているだろうが、それらしき人物も見当たらない。
……いや、俺が居るわ。
俺、2人面識あるし、なんなら加菜とは仲がいいまである。
これ、俺が助けてあげるしかなくないか?
いやいや待て! 物陰から見てるだけでも分かる、あのナンパ男たちめちゃくちゃ怖い。
見るからにヤンキーだろあれは! 短髪のツンツン頭にパツパツのダメージパンツ。サングラスに容量のクソもない肩掛けバッグ!
あんなのに楯突いたら何をされるか分からない! 骨の一本や二本じゃ済まないぞ⁉
「ほらほら、行くよ」
「こっちの子も早く」
「え、ちょ……」
「や、離してっ!」
俺が葛藤してる間にも、加菜と水瀬は腕を無理やり引っ張られどこかへ連れて行かれそうになっている。
遠目でも分かる。2人の声と足は小刻みに震えている。
このままだと危険な目に合うのは確実だ。
……ここはあの2人の為にも、俺が骨くらい折る覚悟をしないといけない。それが男ってもんだ。
ゴクりと生唾を飲んだ俺は、ナンパ男達に駆け寄り、
「あの~、ちょっといいです?」
冷や汗を掻きながら、ナンパ男の肩に手を掛ける。
問答無用ですぐ殴られると思っていたのだが、
「壮馬⁉」
先に俺の方を見て反応したのは加菜だった。
「あぁ? なんだこの男」
「何? この男と知り合い? どうゆう関係なん」
加菜の驚く顔を見たナンパ男は、鋭い視線を俺に向けてくる。
あ、殺される。
ダメだ、ここで引き下がったら男としてのプライドがズタズタになってしまう。
少しくらいチビッってもいい。2人を助けられるなら、多少パンツを汚すくらいどうってことない。
「この2人、俺の知り合いなんですよ。嫌がってますしお引き取り願いたいんですが……」
「あ? 嫌がってねーだろうがどう見ても」
「逆にどこを見たら嫌がってないように見えるんですか……」
なんでヤンキーって頭がこうも弱いのだろう。同じ人間だとは思えないくらいの低能だ。
これと話をつけるなんで無理ゲーなのかもしれない。
「あと、周りの目を少しは気にしたらどうですか?」
「チっ……なんだよ周りの目って」
舌打ちを着いたナンパ野郎は、俺の胸倉を掴む。
子犬みたいな声を出したい気持ちをぐっと堪えて、
「通りすがる人みんなこっちを見てますよ。見て見ぬフリをしてるか動画を取ってるだけですけどね」
フッと鼻で笑う。
「動画ってんなわけ……」
ナンパ野郎は周囲を見渡すと、向けられていた視線に気付き言葉を詰まらせる。
これで引かなかったら俺の命は今日で亡くなる。
棺にはパソコンを入れておいて欲しい。検索履歴とか黒歴史を一緒に燃やせるから。
「これでもまだナンパを続けますか?」
恐怖で引き攣った顔で必死に笑顔を作る俺。パンツはちょっと濡れている。
自分たちが置かれている状況を分かったか、
「もう行こうぜ」
「なんか損した気分だわこんな冴えないやつが居る女に声かけて」
不機嫌そうな顔をしながらどこかへ行った。
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