ききとり

第1話

僕、某コンビニでバイトしてるんですけど、そこであった話です。

そのコンビニ、かなり大きい通りの近くにあって昼とか結構多くの人に来てもらうような店で、ご飯を買う人とか、たばこ吸う人とか、そんな人が多いんです。

もちろん、トイレに行く人も多いんですけど、そのトイレにしてある張り紙が少し不気味なんですよね。

『この人を探しています！』って書いてある、よくある行方不明者の方の親族が作ったと思わしき張り紙。

よくあるやつ、なんだけど写真がおかしいというか。

多分集合写真かなんかから30〜40代くらいの男の人を拡大したみたいな感じなんですけど、目がこっちを見てないような気がして。

まぁ、カメラマンさんのタイミングに合わせられなかったと言われればなんとも言えないんですが、なんか意図的にずらされてるような気がしてですね。

顔はこっち向いてるけど。

そんな写真があるトイレを清掃したり、普通に使ったりするわけですよ。

毎回トイレの横にある写真に少しだけ違和感を感じながらも、するべきことをしていたわけです。

あの日、自分は夕勤でシフトが終わったのは21時でした。

帰りに少し尿意を感じてトイレに行ったんです。

そして便座に座り、用を足してから横にある流すボタンを押そうとしました。

あるはずの張り紙がありませんでした。

少し気になりましたが、見つかったのか？と思い、朝見たニュースを少し思い出そうとして、ふと、前のドアに目がいきました。

あの張り紙がありました。

微妙に違う部分もありましたが。

『この人を探しています！』の一部分が黒塗りされて『この人を探していました』になってました。

不謹慎ないたずらだなと思いましたが、それ以外は特に落書きされた様子はなくて少し安心しました。

とりあえず、まだ仕事がある先輩にこのことを報告しようとその紙を剥がそうとした時、

違和感

いつもより違和感が少ないという違和感

視線が合っていました。

鳥肌がゾクゾクと立って、手も洗わずにトイレから走り去りました。

そしてレジに立つ先輩にそのことを聞くと

「そんな張り紙は見たこともない」

とのことでした。

自分の住んでいる地域の行方不明者情報を見てもそのような人はいませんでした。

あれはなんだったんでしょう？