SweetsKnight《スイーツナイト》~お菓子な騎士達と2人のパティシエ~

夜色シアン

プロローグ

第1話/プロローグ

 俺、シエルはルーマノヒと呼ばれる海に囲まれた魔法国でお菓子づくりをしている。理由? まぁお菓子を作っるのが好きだし、今は作って売ることが仕事だから。それに海に囲まれたって言っても端から端まで歩こうとしたら1ヶ月以上はかかる大陸の国だから客足も普通にあるんだ。


 さてと、俺がお菓子づくりをしてる理由はこのくらいにして、突然だけど、ショートケーキは何の材料でできているのかお菓子づくり専門の俺とおさらいしよう。

 

 まず生地は、小麦粉。砂糖。牛乳。卵とバニラエッセンス。

 クリームは、生クリームとこれまた砂糖。

 そしてデコレーションに好きな果物を使う。キウイだったりバナナだったり。定番なのはいちごだろう。

 とまあこれが皆が知っている甘くて美味しくて、記念日によく食べられるショートケーキの原料だ。

 

 だけど――。


シエル。もうそろそろ作らないか? 私の子を」

 

「だから誤解を招くようなことは言うな! そもそも君たちは特別なんだよ、そんな簡単に作れるものじゃないから!」


 シエルこと俺の目の前で真顔でとんでも発言をしたのはだ。いわゆる擬人化ってやつ。


 見た目は20代前半程の若い女性。顔はキリッとしていいて、まるでスポンジを覆うクリームのような純白のドレスで身を包み、肩まであるショートカットヘアは甘酸っぱく熟したいちごの如く鮮やかな赤。本当にスイーツが人になってしまったとしか考えられないほどショートケーキに近い印象だ。また、名前も人っぽい名はなく、本人曰く【ショートケーキ】だという。スイーツの名前と同じだから紛らわしくて仕方がない。


「む。特別と言う割にはスイーツナイトが何人かここに住んでるじゃないか」


「そ、それは……まぁ……妹がパティシエだから……」


 彼女のように擬人化したスイーツはスイーツナイトと呼ばれている。その名の通りお菓子の騎士。

 

 スイーツナイトは彼女だけでなく、プリンやクッキーなども存在する。

 

 本当に様々なお菓子から生まれる未知なる生物だけど、彼女たちを作るには特別な材料が必要で、普通のお菓子職人には滅多に作り出すことは出来ないのだ。


 ――特別なパティシエである俺……ではなく妹のパティを除いて。

 

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