電脳少女Attraction

@chen-hirai

黒騎士編

第1話 気になる少女は…

俺は、恋をした。今までの17年間、恋なんてしたことがなかった。その相手は、隣の席の…クールな目付きをした少女であった……!


2030年6月

東京都北宮市にある少し小さな高校、北宮高校。生徒数は約300人。偏差値はごく普通レベルである。俺はその学校で高校2年生をやっている割と普通な生徒だ。いつものように授業を終え、次の授業の準備を始める。俺の隣の席の彼女はノートと教科書を閉じ、机の中にしまう。彼女はちらっと俺を横目に見て、少し近づいてくる。

「すまない。今日、放課後暇か?」

「ほ、放課後!?…まぁ暇だけど……」

彼女の顔が段々と近づいていく。俺は驚きのあまり、彼女の目を見つめられない。

「そうか。なら…私と付き合ってくれないか?」

つ、つつつつつつ付き合う!?なにがどうなって!?

「ん?なにか勘違いをしていないか?付き合いと言うのは買い物に付き合ってほしいと言うことだ…」

「え、買い物?なんの?」

「数学の勉強で使う、問題集を買いたくてな。木城(きじょう)、頭良いだろ?」

彼女は少し頬を赤らめながら、俺の名字を言う。好きな人に名前を言われるの…良いなあ。

「ん〜。言うほど頭良くないけど…良いよ、行こう」

俺は笑顔で彼女の願いを快く了承する。好きな人と一緒にお買い物なんて…!まぁ今日は楽しむとしよう!!

ー放課後ー

「おまたせ」

学校の校門に一人、さっきの彼女が立っていた。俺は彼女に声をかけ、手を振る。

「では、行くとしよう」

「う、うん」

俺と彼女は沈みゆく太陽を後ろに歩きはじめる。俺の右隣、彼女はまっすぐ目の前を見つめながら静かに歩く。

「ここを左に曲がると書店があるんだ。そこに問題集が売ってるんだ」

「意外と近くにあったんだな…。私、ここら辺はあまり詳しくないんでな」

彼女、この街に住んでいると思っていたが勘違いだったんだな…。北宮高校の生徒はこの街に住んでいる人が多くいる。他の市から来る人は数少ない。

「北宮に住んでいないんだね」

「いや、私の家は北宮市だ。ただ、この街に来たのがつい最近でな…」

彼女はちらりと俺の顔を横目に見る。俺と彼女は分かれ道で左に曲がり、書店に向かう。もう…日はほぼ沈みきっていた。今日の太陽は、もう俺たちを照らすことはないだろう。

道を曲がった瞬間、なにかゾワッとする感じがした。ブロック塀の影あたりからただならぬ殺気を…。

「なんか…変な感じしないか?」

「…確かに、背後に感じるぞ」

俺たちは歩く足を止め、ゆっくりと後ろに振り返る。そこにいたモノ、それは思いもよらぬモノであった。その刹那、彼女は大きな声をあげる。

「木城!!逃げろ!!」

「は!?でも…!」

「私のことはいい!…早く…!」

彼女の鋭い目は俺の足を動かす。俺は書店の方へ走り出し、チラチラと彼女の方を見る。なんだよ…あれは。俺たちが見たモノそれは、黒いなにかであった。100cmくらいで、騎士のような甲冑を身にまとっていた。甲冑の穴から黒い炎が上がっていた。俺は彼女から500m離れたところに座り込む。息を切らし、あたりをチラチラと見る。ブロック塀にもたれる俺は、また何か嫌な予感がした。俺が今いる場所には…影が広がっていた。そのブロック塀の影から、何かがニョロニョロと出てくる。…まさか。

「おい…嘘、だろぉ…!」

人生は良いことばかりでは…ないんだな。俺が目をつぶった瞬間、鋭い音と共に斬撃音が聞こえる。

「ハァァァ!!!!」

何が、起きてるんだ…。俺がゆっくり目を開けた瞬間、目の前には見慣れた人の姿があった。真っ白な長い髪の毛にツリ目。俺が…大好きな…!

「………白宗(しろむね)、ハク……!」

「…大丈夫か…。木城マサムネ…!」

ーーー続くーーー

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