第9話
魔法の授業二日目。昨日の続きから授業が始まる。
「それでは本日の授業を開始いたします。まずは、昨日の復習から。魔法習得における属性の相性はこちらになります。」
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火:風>土>水 ・ 風:火>水>土
土:水>火>風 ・ 水:土>風>火
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「こちらは今後の内容の基本事項となりますので覚えておいてください。」
昨日と同じ表を見せながらベルタが説明を始めた。
「次に複数適性を持つ場合の他の属性の習得難易度について説明いたします。ここで重要になるのは二つです。一つ目は属性の習得相性、二つ目は適性の優先順位です。」
ベルタは二本指を立てながら説明する。
「まずは、属性の相性によるパターンわけを行います。二属性の場合は3パターンに分けられます。①習得相性のよい二属性。②習得相性の悪い二属性。③そのどちらでもない場合。この3つのうち、どの場合が全属性の習得が速いと思いますか?」
え?いや、難しすぎない?
そう思いながらマティアスは頭を悩ませた。
「③かな?何となくだけど。」
「残念ながら不正解です。正解は②習得相性の悪い二属性の場合です。習得のしやすさを数字に直して考えてみましょう。適性属性の習得しやすさを10、相性の悪いものを-10とします。そうするとこちらのようになります。」
ベルタは紙を指しながら説明を始めた。
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例:火・風属性
適性:火>風>土>水
数値:10 5 0 -10
①属性相性が良い
属性:火 風 土 水
火:10 5 0 -10
風: 5 10 -10 0
10 10 -10 -10
②属性相性が悪い
属性: 火 風 土 水
火: 10 5 0 -10
水:-10 0 5 10
10 5 5 10
③どちらでもない
属性: 火 風 土 水
火: 10 5 0 -10
土: 0 -10 10 5
10 -5 10 -5
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「数字が大きい方が習得しやすいんだよね?ところでこれどういう計算してるの?」
「はい、これはそれぞれの習得難易度を足し算しています。ただし、適性属性の数値はそのまま10にしています。適性属性だけはもう一方の適性属性の影響で数値が下がることはありません。」
この後ベルタが長い時間をかけて説明をしてくれた。この数字は暫定的にそういうものとして設定しているだけで、実際のところどの程度影響があるのかはわからないらしい。
適性属性とはある一定以上の習得しやすさである属性のこと。
適性属性以外の習得は属性の相性によって決まっている。火属性の場合、風はある程度習得しやすく水は習得しにくい。そして、土はあまり影響を受けない。
適性属性以外の習得しやすさはもう一方の適性属性の相性に影響される。
例えば火適性の水は習得しにくく、風適性の水は影響がない。互いに影響し合い、習得しにくくなる。火適性の風は習得しやすく、水適性の風は影響がないため、ある程度習得しやすくなる。火適性の風は習得しやすく、土適性の風は習得しにくい。この場合、風に対して影響は相性の良い火属性と相性の悪い土属性の差になるため、他に比べ若干習得しにくくなる。
というのが単一適性の習得相性に基づいた複数適性の習得相性の考え方らしい。
「しかし、これだけでは説明がつかないことが多々あります。先ほどの考え方では火と土の適性を持つ人は等しく風と水は習得しにくくなります。風か水のどちらかはある程度習得しやすい場合があります。ここで重要になるのが適性属性の優先順位です。多くの場合は適性属性の優先順位は微々たる差ですが適性属性内でも顕著な差がある場合があります。」
「顕著な差?片方は習得しにくいってこと?」
適性属性の差が大きいというのはよくわからない。
「いいえ、適性属性はどちらも習得しやすい属性です。例えるならば、火属性は1時間で習得できるが、風属性は1日かかる。といった感じです。とはいえ、火属性のみの適性だった場合は風属性の習得にはそれ以上1週間1か月とかかります。風属性も適正によって速く習得できるが、火属性はより一層圧倒的に速く習得できるということです。」
「なるほど。」
今のところはベルタの例えが何となくしっくり来た。
「先ほどの例えで行くと、火属性の適性が強く現れているため、風属性以外の属性は火属性単体の適性と同じような習得のしやすさになります。しかし、これは適性属性同士での差が顕著である場合のみで、拮抗している場合は最初に説明したようになります。と言ってもまだまだ魔法師団で研究されている段階ですが大まかにはこのようになっています。」
「へぇ。なるほどね。じゃあ、相性のいい適性を持つのはあまり嬉しくないんだね。」
話を聞く限りで思ったことをベルタに聞いてみた。するとベルタは首を横に振った。
「相性が良い適性属性の場合にもメリットはあります。単純に適正属性の魔法が強くなります。様々な仮説がたっていますが未だに原因は不明です。他にもいくつかありますが、また後日説明いたします。」
「わかったよ。ありがとう。」
今日の授業はなかなかヘビーな内容だった。まだまだ覚えることがあるみたい。クラウス兄さんはともかくカルラ姉さんは本当に勉強したんだろうか。
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