II. 魔族の女
私は魔族の女・ギィゼ。
紫色の髪と肌。黒い目玉に金色の瞳。頭には二本の角も生えている。
かつてはヒューマンたちと敵対し、大陸の半分以上を支配していた。
そんな隆盛を誇った魔族も今や希少種族ではあるが、ヒューマンに隷属し、卑下される存在として認識されていた。
「大丈夫? 立てる?」
新月の夜、あたりを暗闇が包み込んだ頃、広い屋敷の敷地内にある粗末な奴隷小屋に忍び込んできたひとりの若い男。悪徳商人の奴隷として酷使されていた私を救ってくれたのは、漆黒の髪と瞳のヒューマンだ。
ヒューマンは、赤茶色や茶色の髪、濃い茶色の瞳が多く、黒髪と黒い瞳はとても珍しい。吸い込まれそうになるその深くて優しい瞳を、私はただずっと見ていた。
それがユウヤとの出会いだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます