あの頃、私アイプチやった

@Kaneko_Hijiri

謝罪文

私は昔から「睨んでいる」と言われることが多い、生粋のつり目型一重なのである。自分では特に気にしたことがなかったものの、雰囲気が怖いと言われることがあまりにも多かったため、徐々に自分の目にコンプレックスを抱くようになった。そんな矢先、私が小学校6年生くらいの頃に化粧品の一部として売られ始めたのが「アイプチ」だった。二重にすれば目つきも丸っこくなるんや! とそこで私はついに真相に辿りついたのだった。それから私は毎日アイプチの糊を目に塗り、棒状のもので瞼を引っ張り上げるようになる。この2ステップだけで何時間もかかるものだから母は呆れたように毎朝私のことを見ていたのだった。そういう私は中学になっても相変わらず大きな鼻息を立ててアイプチに必死。ガチ本気の修行三昧の日々を送る。


ある時、私は担任の先生から呼び出しを喰らったことがあった。なんだろう? と思いつつ別室に案内され、私はドキドキしながら先生の話を待った。


「金子、あんたアイプチのやり過ぎや。瞼ひっくり返って余計怖なっとるわ」


と言われたのであった。そ、そんなバカな……⁉︎ せんせい、あたし2年以上アイプチの研究してるんやで、ひっくり返るって、そんなはず……と私が驚きたまげていると、先生は私に鏡を寄越して「よお見んさい」と言ったのであった。確かにそこにはまつ毛の生え際までもがありありと見えるくらいに、瞼がふんぞり返っている私の目が映っていたのである。ま、瞼が接着されすぎてもはや二重とかの問題じゃない。当時、私はショックというよりかはこんなえぐい形相で街を歩いていたんか……と軽い衝撃とすれ違った人たちに対してかなりの申し訳なさを感じたのである。ここまで本気で謝りたいと思ったのは、ドッヂボール大会で私の投げたボールがクラスメイトの顔面を直撃してしまった時以来なのであった。


教室に戻ってから友人に「あたしのアイプチって怖い?」と聞いたら「怖い」と即答。だってそれ全然二重じゃないし、だってさ。中学一年生で惨敗の舞上げちゃったよ。


目つきが怖いからアイプチで改善しようとしたものの、余計怖くしていたというね。なんていう本末転倒な話! ちなみに今はもうまったくしていないのだけど、万が一あの頃の私の写真が流出するならば、私はもう恥ずかしくて表に出られませんのよ。

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