第5話 本田実が聞いたボイジャーレコード

二〇二一年十一月末のライフパーク倉敷についた。

何度も瀬戸大橋を渡ったが、それでも追い抜きには全くなれない。

 今回のプラネタリウムは倉敷の天文観測者「本田実物語」とウクライナが製作した「ボイジャー終わりなき旅」の番組を見るためだ。

 午前中は「チコちゃん」と「ごんぎつね」の番組だったためそれをスルーし午後からの番組を見るとこにした。

 「南極大陸」という番組は吹き替えのナレーション、恐らく三上哲氏と思われる人物のしゃべりが軽妙だ。

ヒョウアザラシの狩りや激しいプロレスをするゾウアザラシを通り過ぎようとするペンギンの説明が面白い台詞とともに見ている人を引きつけた。

 そんな中で笑ったのはイソギンチャクとクラゲの戦いで、どっちが獲物でどっちが捕食者なのか全くわからない攻防を繰り広げていた。

 次の本田実物語はかなり古い物らしく、デジタルリマスターにしたらしい。前半は鷲羽山から見た星空の解説が始まった。瀬戸大橋を背に太陽が沈むと、幻想的な四国と瀬戸大橋の夜景がきらめいていた。

 途中、子供が椅子を蹴飛ばしていたため解説員が厳しく注意するハプニングがおきたがその後問題なく星空解説を終えた。

 本編は本田実が幼少期の話をして、次に最初に見つけた星が反射光だったというしくじり談からはじまり、日中戦争中に新聞記事で載ったり、戦後は倉敷を拠点に星を観察していたなどが紹介されました。

ふと、一九九一年に亡くなった話を聞いていたとき、どこかで聞いた声だと思った。それはヒストリーチャンネルの『ユニバース』という番組でナレーションしていた人の声だった。

「すごいな、この人がナレーションをしているのか」

 懐かしい声を聞きながら番組を聞き終えたとき思ったことは。「やはり、二つ続けて聞くのは体力がいるな」だった。しかし、メインディッシュはこれからだ。

 それまでの時間は科学館で一時間以上の暇を潰すことにした。内容は自動車工場があるせいもあって、歯車類が多く、自動車関係もいくつかあった。

 そして一六時二〇分になり、チコちゃんの番組予告の後ボイジャーの物語が始まった。

 まずは、宇宙科学者のカール・セーガンの言葉から始まり、宇宙開発の端的な紹介がされた。西側の物なら、スペースシャトルが出るのだが、ソ連の宇宙開発が紹介された。

 竹田雅則の吹き替えナレーションとともに地球の自然から始まり、スプートニク一号が登場してソ連の宇宙ステーションそしてアポロ一一号と続きマリナー計画に打ち上げられたマリナー一〇号が水星辺りでスイングバイするシーンとともにタイトルが出た。

 そして星が一列に並んだ時を狙い一九七七年に打ち上げられた。その打ち上げのシーンは三六〇度パノラマのだけあり圧巻だった。

 そして、木星や土星の周りを回るイオやエウロパなどの火山や氷の世界に海王星の崩壊した衛星など、実際に見に行けば、おなかいっぱいになりそうな光景ばかりがパノラマで映し出された。その光景はオリオン座などの星座が無ければ現実とは思えないほどだった。

 余談ではあるが、実はボイジャー一号は土星を超えた後にその足で冥王星に向かう予定だったが、キャンセルとなり、二〇〇〇年代のニューホライズンズまでお蔵入りとなった。

 そして、ボイジャーのゴールデンレコードについて紹介された。後に調べたことによると、世界中の言葉や挨拶、音楽や映像が録音され、さらに異星人の言葉や科学が通じないことを想定して載せた絵についても相当頭を絞った物であることも知った。

 そして人類や地球が滅んでもボイジャーの果てしない旅が続くことが示された。

 最後にとある惑星の見たことない植物や生物が住む森でピンク色の肌をしたグレイ型宇宙人がボイジャーとゴールデンレコードを見つけるところで終わった。

 私は余韻に浸りつつフェリーが待つ新岡山港に向かう。途中で玉野市の野焼きを見るため寄り道しつつバイクを急がした。

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