三話 料理と仲間
問題を解決して、どうするかを考える。今の所持金を確認すると、殆どお金が残っていない事に気づいた。別に豪遊していた訳ではない、あの氷が高すぎたんだ。技術料とか言って値引きしてくれたけど、所持残金百万円って…。この前まで数千万円持ってたのに?
「はぁ…狩に行こう」
「私も…着いて行っていいですか?」
メェルは下から上目遣いで覗いてくる。断れなくない、その眼。でも、この先問題になってくるのは仲間だとは思う。もし仮に、この先、様々な場所で衝突や争いがあって、それに巻き込まれてしまうのだとすれば。一人で対応しきれないかもしれない。この子を仲間にする方法を考えてみてもいいか。俺自身の能力把握のためにもなるし。
「いいよ?行く?」
「はい…行きます!」
街の外まで出て、魔物を探す。街を一歩出れば、大森林になっているから魔物の一匹や二匹居るだろう。それにしても、不思議だ。なんでこんなに魔物が少ないんだろうか。これだけ大自然に囲まれていたら、魔物がたくさん攻めてきてもおかしくないのに。
「魔法か何かか…?」
「何が…ですか?」
「ここら辺は魔物が少ないね」
「そう…ですか?」
メェルは周辺をぐるっと見回している。獣人にとってはこの環境が当たり前なのだろうか。それともう一つ、人間と戦争をしていて、ここが戦地だと言われている割には戦った形跡がない。どういう事だろう。元の世界と当てはめてなんでも考えるのは悪い癖なのかもしれない。戦争は起きてない方がいいんだから。
「お…居た。なんだあれ?」
陸上を動いている、うねうねした…タコ?うわぁ…見るからにやばそう。蛍光色というかまだら模様をしているというか…そう!ヒョウモンダコだ!……猛毒じゃねえか!どうする…倒して食べてみるか?痛い思いをするのは嫌なんだけどなぁ…死にたくもないし。
「あれは…食べられますよ…?」
「は?あれ食べるの?!」
「聞いたこと…あります…!」
メェルの自信満々な表情と胸を張る仕草、うん…信じてみるよ…頑張る。タコはタコ…そう!見た目を気にしないようにするならたこ焼きじゃない?行ける…行けるぞ!自身を持て!
「行くよ?」
「はい…頑張ります…!」
戦闘開始の合図といたしまして、実況の声が上がります!タコの魔物は気づいていません、いつも通りのバックアタックが出来る有利な状況です!しかしながら、タコの視野角というのはかなりの広さを誇ります、四角い目はどんな態勢になっても常に同じように見えるためですから…死角がございません!終わりです!
「終わらせちゃ駄目だろ?!」
おっと、失礼いたしました!ここでオーキチ選手の鋭いツッコみが入り、魔物はこちらに気づきます!ひゅるひゅると長い触手を操って、木々を移動しています!どこから攻撃してくるのか、注意をしておく必要があります!ここで、急に魔物が攻撃を仕掛けてくる!なんと、木にぶら下がりながら、長い触手を鞭のように使って攻撃しています!
「こういう攻撃の仕方ね。」
流れるように、メェル選手を前に立たせまして、攻撃を防ぎます!タコの本体を攻撃するための作戦を練らなければ、いずれは持久戦で負けてしまうでしょう!さぁ、ここでオーキチ選手はどんなアイデアを見せてくれるのでしょうか!
「ないんだけど…アイデア。」
「どう…しますか?」
タコの習性を思い出して、どうにか作戦を練り上げなければなりません!何々?いずれは木の枝が折れてしまう、それを狙う、とのことです!言われてみれば、音が聞こえてきますよ!ミシミシと魔物の体重に耐えられなくなっていく!魔物は攻撃を止めれば劣勢になる事を分かっているようで、止められない!
「多分落ちるからそれまで耐えてね」
「分かり…ました…!」
メェル選手は常日頃から自分と同じくらいがそれ以上の大楯を持っている影響か楽々の様子です!それを後方で見ているオーキチ選手!おっと、ここで目の前に魔物が落ちてくる!とどめを刺す事を優先して眉間のあたりに剣を突き立てに行く!
「喰らえ!」
鈍い音がしたが…魔物は生きている!どういう事だ?!何が起きたというのか!いや、タコの眉間に刺さらず、違う場所に刺さってしまったようです!魔物は驚いて目を見開いている!
「ごめん、失敗した」
「大丈夫…です!」
魔物はメェルに狙いを定めている!ここで、魔物は渾身のビンタをメェル選手へ食らわせる!メェル選手は堪らず盾を弾かれてしまった!危険です、これ以上は良くないでしょう!しかし、オーキチ選手は何やら作戦を練っている様子です!どうするのでしょうか、ここから何をするというのか!
「大丈夫だから、信じてね」
メェル選手は怖さに震えています!ここを助けてあげる事が出来るのか、そしてオーキチ選手は何を狙っているのか?!
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