色の趣味

星之瞳

第1話

彩香さやかったら、またそれやってるの!好きだね、ジグソーパズル。私出来ないから何がそんなに面白いのやら、教えてよ」

真美まみっつたら。そうね、毎日違う色に会えるからかしら」

「色?」

「うん、ジグソーパズルって、絵をバラバラにしたものをはめていくでしょう。元の絵を覚えてピースの色と形を考えながら繋いでいくの。それを考えるのが楽しいのよ。このピースはここって思ってはめてみたらはまったときの快感と、出来上がったときの達成感も味わえるしね」

「でもさ、毎日って飽きないの?」

「うん、元々好きだし、私が使っているアプリは毎日絵が変わるからね。楽しいよ」

「元々って、前からやってたの?」

「う~ん、小学生のころからかな、1000ピースとか2000ピースとかやってたっけ」

「1000,2000って、私100でもうまくいかないのに・・・。でもそんなにピースの多いものって高かったでしょう、よく買ってくれたわね」

「私秋生まれだから、『誕生日とクリスマスとお年玉全部まとめて買って』ってねだってた。それに母も好きで、私が使った後は外して自分もやってたわ」

「え、全部はまったら、ノリで固めるんじゃないの?」

「うちはそうしなかったわね。額を買って飾ったりはしたけど。デスクマットに挟んでいたし。飽きたらばらして保管していたしね。それにほかにも色を扱った趣味やったし」

「他にもって?」

「色鉛筆に、ビーズ細工。色鉛筆は100色を買ってもらったし、ビーズもパズルの後同じようにして買ってたな。両方とも今はしてないけど。就職してから忙しくてね」

「そうなんだ、でもお母さんよく理解してくれたね」

「そうね、パズルとかを勧めてくれたのは母だしね。このアプリも母が先にインストールしていて、『こんなのあるよ』って紹介してくれて、母のスマホを借りてやってたんだけど『いい加減自分のにインストールしなさい』って怒られてインストールしたら、こうやって毎日やるようになってしまって、元々好きなものが似てるのね」

「なんか羨ましいな。親子で同じ趣味って。そんなのなかなかないよね」

「そうね、庭にお花も育ててるし、いろいろな色の花が咲くのは素敵だしね。たくさんのきれいな色を見るのが好きというのが似てるのかな」


私は真美と話しながらそう思った。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

色の趣味 星之瞳 @tan1kuchan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ