色々なニュース

春雷

第1話

 本日は晴天、空の色は青。今日も世界では、様々な出来事がありました。一日を振り返っていきましょう。


 凄島県では、凄島第一小学校の遠足がありました。六組のたかし君は、事前に先生から、おやつは三百円までと言われていたのにも関わらず、五千円のうまい棒を持ってきてしまい、先生からお叱りを受けていました。そのうまい棒には金箔が何重にも貼られていたようです。

「おやつは三百円までということは知っていたが、同級生に自慢がしたくて、五千円のうまい棒を持ってきてしまった。後悔している」とたかし君は供述しています。

 たかし君は懲役三年の刑に処されました。


 弩海道では、知事選が行われました。現職の井上氏と、新人の佐村氏の事実上の一騎打ちとなり、最終的には相打ちとなったため、繰り上げでそこら辺にいた主夫の小嶋さんが知事となりました。

「井上さんが、佐村さんの右耳を包丁で切り落とすところまでは、良かった。しかしその後、佐村さんの二丁拳銃戦法に押されて、佐村さんを引きずり込む形で崖から落ちていった。井上さんは八十歳。二十八歳の新世代に一矢報いたと思う」新知事となった小嶋さんはそう語りました。

 小嶋氏は、弩海道の消費税をゼロ%にすることをマニフェストに掲げています。


 釘縄県では、観光需要の増加に伴い、地下格闘技場を八倍にする計画が、県議会で可決されました。

 釘縄県では、ルール無用の殺し合いが地下格闘技場で行われており、県の一大産業となっています。海外から殺し合いを観にくる客も多く、新たな地下格闘技場の建設が望まれていました。

「やはり血を見ることは生きがいである。血を見ることで、生を実感できる。これからも、もっと地下格闘技を盛り上げていきたい」地下格闘技場のオーナー、田ノ原氏はそう語りました。

 ちなみに、彼は単身赴任で釘縄県に住んでおり、息子のたかし君は余罪が見つかり、懲役三十年の刑に服しています。


 青氷県では、隣の弩海道で消費税がゼロ%になったことを受け、人口の約八十%が弩海道へ移住したと、県が発表しました。

 弩海道では、新知事の小嶋氏が就任し、消費税をゼロ%にする法案を議会で提案、即可決されました。

 そのニュースに、隣接する青氷県の住人が反応。家を捨て、弩海道に渡る人が多数、現れました。移住者は、約五十万人に及ぶとされています。

 青氷県の手島知事は、この騒動を受け、消費税をマイナス五%にすることを発表。このことが発表されると、青氷県には再び住民が戻り、弩海道の住人も大量に青氷県に移住しました。

 弩海道の小嶋知事は、消費税をマイナス八%にすることを提案。議会での可決はまだですが、さらなる混乱を招くことは必至です。


 続いては、海外のニュースです。


 アマガリーでは、全裸の男が町で大暴れしていました。その男は全身傷だらけで、意味不明な言葉を吐いていたと言います。

「オレハ、イノウエ、サムラハ、ドコダ。ヤツハ、ドコダ。みたいなことをずっと言っていたよ。目が血走っていて、とても怖かった」青果店を営むサディさんはそう語りました。

 その男は、意味不明な言動や、大怪我をしていることなどから、釘縄県の地下格闘技場から逃れてきたのではないか、と推測されています。

 現在、アマガリーの気温はマイナス四十度。大雪で、風も強く吹いています。


 また、アマガリーの西部では、人の耳が海岸に流れ着いており、アマガリーでは現在、不可思議な現象の多発を受け、全土が混乱しているようです。


 天気予報。

 全国的に、強い酸性雨が降るでしょう。


 スポーツ。

 今日は何のスポーツも行われませんでした。


 以上です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

色々なニュース 春雷 @syunrai3333

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説

革命前夜

★0 詩・童話・その他 完結済 1話