幻想異邦紀行
赤井夏
饗宴にて
いやはや、この何の芸当を持たぬわたくしめを、このような素晴らしき饗宴にお招きくださるとは。この喜び、私はおろか、世界中の詩才に満ちた詩人を何人集めたところで、到底言葉に表せぬほどでございます。
しかしこの王国の栄華を反映したような壮観たる宴に、私のような男がただ飲み食いするだけでは、あまりにも不敬な振る舞いであると自分を恥じるばかりなのございます。
なので、あの舞台に立つ妖艶な踊り子や、その脇に集まった楽団のように、私も一芸お見せして、少しでもあなた様が開いてくだすった饗宴に呼んでいただいた御恩を返せればと思ったのですが、あいにく私には何の芸も持ち合わせていないのです。
そこでひとつ、あなた様に私の旅話をお聞かせしとうございます。私はこう見えて、かつて世界中を旅してまわった身であります。この世界には、それはそれは摩訶不思議な街や土地がございました。
いつかあの街々も、あなた様のこの夜を知らぬ大国の土地となり、その栄光をますます世に知らしめることを、私は切に願っております。
今から私が話すのは紛れもない事実。そして嘘偽りなくこの世界に存在する街々についてでございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます