第3話

 午前 10時30分 日曜日

 土浦市霞ヶ浦鳳翼学園


 轟々と音のする渦巻きが四方を囲んでいた。

 ここは土浦にある鳳翼学園の屋上。

 空が泣いていた。

 大泣きとはいえないのだが、はち切れんばかりの感情を押し殺したような泣き方だった。

 あれから、半年間である。

 雨の降りしきる日が通り過ぎていく。


「もう、ここも駄目ね」

 隣に佇む麻生が呟ていた。その表情は暗く、どこか寂しげのように思えた。

「おれ。変わらないから……そう、いつまでも……」

(そうだ……。どんな状況だったとしても……絶対に……)


 武はそう言うと死を覚悟した。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る