第5話
教室に入るとまだ誰もいなかった。たぶん外にいるのだろう。俺は前に貼り出されていた席の表を見た。するとあまり目立たない一番窓側の一番後ろだった。ラッキーだと思いながらその席に座った。スマホを触っていると家族全員からメッセージが来ているのにきづいた。順番に開くと「学校頑張れ!」」「学校頑張ってね!いつでも味方だからね」「学校頑張れよ!応援してる」ときていた。父さん、母さん、兄ちゃんの順番だった。父さん、母さん、兄ちゃんは俺が中学でいじめを受けているのを知るとすごく怒っていた。学校に乗り込んでバレーの監督、部員はもちろん校長などにも抗議してたし。あの時、俺は1人じゃないと思えたしな。あんなに父さんたちが感情を出して怒っていたのを見たのは初めてだった。俺の元友達が家に謝りに頻繁にくるようになった時もあった。俺は自分の部屋にいたから分かんないが、ある時父さんたち3人が玄関のドアを開けアイツらと会話していた。あんまり自分がした事を理解してないようだった。アイツらは「俺らも洸みたいにいじめられたら…って思うと行動できなかった。反省してます。ごめんなさい。」
と言っていた。でも俺だってこんな謝罪で心の傷が癒えることはない。それにコイツらはまた許してもこういう事を何回もする。それが人間の特性だから。そう思っていると父さんが「そんな謝罪で許すと思ってるのか。息子に洸にあんな仕打ちをして。」そして兄さんが「俺の可愛い洸にした事は絶対許さん!洸はお前らに会いたくないはずだ。帰ってくれ。」と言ったんだ。そしたら「洸に謝罪できるまで毎日来ます。謝りたいんです。」と言ってきた。俺はそれを聞きうんざりしていた。アイツらの声聞きたくない。と思っているとさっきまで言葉を発さなかった母さんが「洸に謝罪できるまで毎日来る?ふざけないでよ。そういうふうに言うなら最初からやんないでよ。修の言う通り洸はお前らに会いたくないからもう2度とこの家に来たり、洸を見ても話しかけたりしず、洸に関わらないで。それがあんたらにできる唯一の事。」と言うと、まだアイツらは納得してないようだったがドアを閉め「これ以上いたり、また来たりしたら警察呼ぶぞ。」と父さんが言うと、声がしなくなった。自分の部屋の窓から見るとアイツらが帰っているところだった。俺は自分の部屋で家族とアイツらの会話で泣いていたらしい。リビングに行くと3人とも驚いた顔をしていて、「辛かったな」などという言葉をかけてくれ、おれは1人じゃない。家族だけは信じようと思えた。それからは学校には行ってないが学校側の配慮で学校に行かなくても卒業できるようだ。俺は家で勉強したりして桜ヶ丘高校を受験し、合格したと言うわけ。
あの日の出来事を一通り思い出していると大分時間が経っていたらしい。あれから20分経って8時20分になっていた。教室にはいつの間にか人が沢山いた。俺は家族全員に「学校頑張る」とだけ送り顔を伏せ目を瞑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます