マカイジャーファイト2 春の色を取り戻せ!

ムネミツ

マカイジャーファイト2 春の色を取り戻せ!

 「もうすぐ桜の季節ね、進太郎♪」

 「そうだね、お花見の用意しないと♪」


 春休みを楽しむ進太郎と勇子、地元商店街の見回りをしつつ語り合う。


 「でも、春は色々と解放される季節でもあるよな」

 「そうね、春は変態の季節よね?」

 「いや、何でそこで俺を見る?」

 「私の中であんたが一番の危険人物だからよ」

 「否定はできないな、でも危険な所の方が安全だから」


 路上で夫婦漫才を繰り広げる二人。


 だが、二人の左手首に装着されたハロウィンカボチャのブレスレットが光る。


 「何かあったみたいだな、戻ろう」

 「事件の予感って奴ね!」


 進太郎と勇子が急いで基地へと戻る。


 進太郎達マカイジャーの基地である大使館の居間。


 「戻ったぞって、どうしたザーマス!」

 「お帰りなさいませ、不覚でございます」

 「ザーマス、めっちゃ鼻声よ?」


 イケメン執事にして、戦隊のブルー担当のザーマスの異変に驚く進太郎達。


 ザーマスは口にⒽマスク目にはゴーグルで顔を覆い、鼻声でせき込む。


 「お帰りなのだ、ザーマスが』花粉症になったのだ」


 白衣を着たおかっぱ頭の少女、グリーン担当のフンガーがぼやく。


 「勘弁して欲しいですぜ、杉花粉ッて奴は」


 茶髪に褐色のイケメンコック、イエロー担当のガンスがザーマスを見て呆れる。


 「取り敢えずザーマスは休め、衛生的な意味も含めて」 

 「ありがとうございます、それではしばらく引きこもらせていただきます」


 進太郎が命じるとザーマスは退室した。


 「花粉症って、本当に厄介ね」

 「ああ、家の戦力が低下するほどにピンチだね」


 勇子と進太郎が顔を見合わせて呟く。


 「で、呼び戻したのはザーマスの花粉症の件だけ?」


 進太郎がガンス達に尋ねる。


 「いや、がザーマスの花粉症を悪化させた奴がいるんでさあ!」

 「新たなクライム悪魔が出たのだ!」


 ガンスとフンガーが叫ぶ。


 魔界の各地で悪さをしたスギ花粉の悪魔、スギーカが人間界へと逃げ出した。


 十人戦隊のマカイジャーは、ローテーションを組み地球と魔界の平和の為

に活動している。


 ザーマスは魔界でスギーカと交戦し、花粉症を悪化させたらしい。


 「スギ花粉の悪魔、何て恐ろしい奴!」

 「索敵に力を入れましょう、この時期の日本だと大惨事よ!」


 お花見で人が集う季節、花粉症テロなど許せるはずがなかった。


 「ゴールドやピンクにも連絡しないとな」


 進太郎が追加戦士にも連絡しようと変身ブレスに手を触れる。


 だが、その前に変身ブレスレットからデジタルスクリーンが浮かび上がった。


 『皆さん、大変です! お、奥多摩湖が黄色くなってしまいました~ッ!』


 スクリーンの向こうから叫ぶのは、瓶底眼鏡をかけた金髪の少女。


 ゴールド担当のグー子だ。


 「ちょ! 取り敢えず奥多摩駅まで移動して、合流するから!」


 グー子のみを気遣い、合流を促す勇子。


 「よし、マカイジャー出動だ!」


 進太郎が叫び、仲間達が応じて緊急出動となった。


 奥多摩に集ったデーモンナイトとマカイジャー。


 「げげっ! 湖がまっ黄色にっ!」


 デーモンナイトが叫ぶ。


 「敵を探して倒さないと!」


 レッドが憤る。


 「橋の上に、いたのだ!」


 グリーンが敵を発見する。


 「許せません、倒しましょう!」


 ゴールドが先行して、橋に向かい突撃する。


 「あっしらも急ぎやしょう!」


 イエローがゴールドを追う。


 「ギギギギ~~ッス♪ このまま世界を黄色に染めてやるギス♪」


 頭に小さな無数の杉を生やしたでかい木製の人形風の怪人。


 クライム悪魔スギーカが笑う。


 「そうはさせん!」

 「私達マカイジャーが成敗するわ!」


 デーモンナイトとマカイレッドが叫ぶ。


 「お花見スポットを汚した罪は重いのだ!」

 「仲間の仇、取らせていただきやす」

 「奥多摩湖の住人として許せません!」


 グリーン、イエロー、ゴールドも怒りをあらわにする。


 「出たな、混血王子とマカイジャー! 貴様らも花粉症になれ~~っ!」


 スギーカが、頭部から花粉をばら撒く!


 「汚いものをばら撒くな、デーモンサンダー!」

 「焼き尽くしてあげる、サンファイヤー!」


 デーモンナイトの電撃と、マカイレッドの火炎放射が花粉を消滅させる。


 「良し、皆でマカイカノンだ!」

 「敵を倒すのにこれ以上尺はいらないわ!」

 「レッドがメタな事言ってるのだ}

 「いや、湖の掃除が待ってやすよ?」

 「一気に行きましょう!」


 全員で巨大な大砲を召喚し、スギーカに向けてビームをぶっ放す。


 「ぎゃ~~~っ! 秋には弟が仇を!」


 断末魔の叫びを上げて滅ぶスギーカ、こうして悪は滅びた。


 「秋も花粉が来るんだよな」

 「その時はその時よ♪」


 スギーカの末期の言葉にげんなりするデーモンナイト。


 その背中をマカイレッドがはたいて気合を入れる。


 戦いが終われば、湖の大掃除。


 巨大ロボットも動員して清掃作業に励んだマカイジャーにより景観は回復された。


 数日後、無事に奥多摩でお花見が開催される。


 「それでは、お花見を開始する♪」

 「「かんぱ~~い♪」」


 進太郎の音頭で、仲間達が乾杯する。


 「ぷは~~~っ♪ 労働した後のコーラは美味しいわ♪」

 「勇子ちゃん、コーラでオヤジ臭い事言うなよ」


 進太郎が勇子のグラスにコーラを注ぎながら呟く。


 「坊ちゃん、嬢ちゃん、特製の弁当ですぜ♪」


 ガンスが黒塗りの重箱を広げて、色取り取りの総菜が吐いた弁当を見せる。


 「流石ガンス、肉が多めなのだ♪」


 フンガーが箸で唐揚げを取って食う。


 「皆様、お手数をおかけいたしました」


 出番のなかったザーマスが、仲間達に飲み物を注いだり雑用に励む。


 「一番、グー子♪ 歌います♪」


 ハンディマイクを手にグー子が歌い踊る。


 奥多摩湖周辺の桜を眺めつつ、宴に興じる進太郎達マカイジャー。


 こうして、春野色は取り戻されたのであった。

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