愛しのベビー。〜悪魔はお嫌いですか?〜

猫野 尻尾

第1話:押入れの壁に描かれた魔法陣。

俺は現在独身・・・安マンションで一人暮らし。

名前は日和又 昇ひわまた しょう」25歳。

「みんなからはショーって呼ばれてる」


会社が休みの日、俺は久しぶりに街に買い物に出かけた。


で、行きつけの店で何着か服を買って昼は、うどん屋で釜揚げうどんを食って、

商店街をプラプラ歩いていたら占い師のばあさんに呼び止められた。


「ニイちゃん、あんたもう二年あまり彼女いないだろ?」


まあ、当たってるし・・・。


「あんた・・・近日中に彼女ができるよ・・・相手はとっても変わった女性だね」

って言われた。


でも俺は信じなかった。

今んところ女性と出会う機会もないし、その兆候っすらないのに、そんなにいきなり彼女なんかできるわけないじゃん。

俺は、ばあさんのことを無視した。


で、それから一週間してのことだった。

その日は低気圧が張り出してきていて朝から不気味なくらい空が淀んでいて

とても寒い日だった。

なにか嫌なことが起きそうなワクワクする雰囲気の空模様。


で、寒いので押し入れから毛布を一枚取り出そうとして下に重ねてた他の

毛布や布団まで絨毯の上にバサバサ落としてしまった。

で、しかたなく全部元に戻そうと思って何気なく押し入れの中を見た。


そしたら左側の壁に赤い色でなにか模様らしきものが書かれてるのを発見。

見たことある模様・・・。

それはファンタジーなんかでよく見る魔法陣に似ていた。


そんなもの、つい最近までなかったはずなんだけど・・・。


俺以外にこの部屋に人はいないんだから、わざわざ押し入れの壁にそんなもの

描くやつなんていないし・・・。

俺は不思議に思ったけど、とくに気にすることもなくその時はその模様を

スルーした。


でもって次の日少し暖かくなったので毛布をしまおうと押し入れを開けたんだ。

そしたら、やっぱり魔法陣らしき模様はそのまま残っていた。

寝ぼけてた訳でもなく夢を見てたわけでもない。

  

なんて書かれてるのか興味を持った俺は模様に顔を近づけた。

そしたら・・・そしたらなんとその左の壁の模様から、にゅ〜っと一本の腕が

出てきたんだ。


俺はびっくりして思わず押し入れを閉めた。

今の絶対、心霊現象だ・・・ホラーだ・・・。

よく壁から手がいっぱい出てくるホラー映画とかあるだろ?あれだよ・・・あれ。


でも、俺って霊感ゼロだし・・・もしかしてなにかの間違いかもしれないと思って

恐る恐る、また押し入れを開けてみた。


そしたら、なんか赤い模様から赤い頭がちょうど出て来ようとしていた。


「わ、わ、わ・・・何が出てきてるんだ? やっぱホラーだ・・・」


ホラー映画とかがすこぶる苦手な俺はこの状況にめちゃパニクった。


つづく。


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