アウトノエ2005―とりあえず→な↓ん←ト↑カ―

gaction9969

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 「とりあえずビール」は私も好きな方なので全然良いのですが、さんざん飲み倒した後の二次会での「またとりあえずビール」はしんどいと思う私なのです……(のです…


 体育会系の飲み方を大学の時にずっと強要されてきたせいか、ビールは注がれたものをコールに合わせてどんどん干していくものかと思っていましたが、就職してからは新人は特に注ぎに行くものということを覚えたのも懐かしいですな……


 最近は毎年健康診断に引っかかり、指導を受けてはその三か月なら三か月だけうわべのみ頑張りを見せつつボクシングに例えると二階級くらい体重を落とし、それが終わるやいなやボクシングに例えると三階級くらいリバウンドするというのが毎年の風物詩になっている私であり、今は今で日々の惰性で飲んでいた晩酌をすっぱりとやめ、水道水を毎日二リットルノルマとして飲み、休みの日には市民プールに通って二時間ほど浮かんでいるようにゆっくりと泳ぐという、身体の内外を流れる水と共に生きるスカスカな健康生活を送っているのですが、うら若き二十代の頃は酒を嗜むということが何か格好ええ……と思っていたのですな、誠に度し難きことです。


 そうなると飲むものについてもこだわるのが自意識の肥大した漢のサガであり、最初にビールじゃないものを注文することによって皆の注目を集めよう、その流れで飲み会の雰囲気を和ませ、その中心で流れを引っ張っていこう、のような傍からはどうでもいい、むしろ仕事でその積極性を発揮せいというような周りの空気感にも気づかないまま、ドヤ顔という言葉がまだ無かった時代にそれはもう醜いほどのドヤ顔にて乾杯前の微妙な待ち時間を発生させてしまい、微妙な表情を浮かべジョッキを手に持つ皆々様の微妙な沈黙にも気づかずに嬉々として自分の飲み物が運ばれてくるのを待つわけです。


 「とりあえずウーロンハイ」、これは甘くないもの、イコール何か格好よく感じたのでしょうな、そこから派生して「とりあえず紹興酒」、結構するっといけてしまうので危険なのですが、それで最後まで通してしまえば翌日はあまり残らなかった記憶があります。「とりあえず赤ワイン」、一度ワインセラーが供えられた半地下の料理店でピッチャーのようなデキャンタで供されてそれを私が周りの後輩に注ぎ周りまくって場が混沌と狂乱の渦に呑まれた時がありましたな。「とりあえずウイスキー」、ここまで来ると最早ネタ的意味合いも強くなり、周りもいじり始めてくるので有難いと思いきや無駄にでかいバカラグラスを備えた店だったりしてそこに「トリプル」という聞いたこともない風情もないなみなみとした注ぎ方にて供される。これはもう開始十分くらいからぼんやりしてほぼ会話の内容も覚えていないくらいになるし、次の日もそのぼんやり感が昼過ぎまで続くという誰も何も得をしない代物なのでおすすめは出来ませぬな!! というかこのご時世やっちゃダメッ!!


 スマートドリンキングの時代に生まれたかった……と思うこともありますが、あの昭和平成のぐどぐどの飲み会というのもまた面白き……とは言え自分の適量を知って守って、楽しい飲み会をッ!!(自★戒


(了)

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