お歌が好きな小学生

綾瀬 りょう

第1話 お歌が好きなんです。

自分では歌が好きで音痴かどうか分からなかったころ。大体幼稚園児位だったと思います。


突然母親に「音痴なんだよね、だから子守唄歌ってほしくなかったの」と言われても私はちんぷんかんぷんで、キョトンとしていた気がします。

楽しく口ずさんでいた歌を中断させられ難しい顔をする母親にどう察していいかわかりませんでした。


覚えているのは「まだ歌いたいんだけど?」という気持ちだけです。


蛇足ですが、少し大きくなって分かった事で、嫁入りだったために姑さんに「音痴なんだから子守唄なんて歌わないで!!」と言えなかったらしいです。


さて、私は音痴の子守唄を歌われてたかなんて分かりません。見つめていると「仕方ない」と言ってとある動揺を覚えるように言われました。それで音が取れるようになれれば音痴を卒業できると。


言われたからには毎日必死に練習します。兄弟に「うるせぇ!!」って言われながらも頑張って練習を続け母親に「ちゃんと音取れてるかな!」って聞く日々を過ごしました。


1週間も続けたら母親の顔には「もういいよ」という感じが見えてきたのですが、お歌が好きなので私は歌い続けます。


一カ月くらいの練習したら「まぁ、マシになったね」と言われたと記憶しています。

お歌の先生からOKをもらった私は嬉しくなって更にお歌が好きになりました。


そう、私は音痴を卒業できだと思ったのです。

これまた時が過ぎてから、「音痴治らなかったね」と爆弾を落とされたのは小学校の合唱部に入った頃でした……。


当時の私は純粋に歌が好きで、歌うのが楽しくて仕方なくて、音痴を卒業できたので次に大きな声で歌う事が趣味になりました。


真実を知らないまま小学生になった私の趣味が、「下校の時に歌を歌う事」になりました。

田舎で帰りの道一緒に帰る子がいなく、暇だった私に残された選択肢はそれくらいしかありませんでした。

当時好きなアニメの主題歌を大声で熱唱する私。

近所の犬に吠えられない限り、気にせず歌い続けます。


ある日「昨日の帰り道で不審者が出ました」と話が出るではありませんか。

私は毎日1人で帰っていて恐怖で「出会ったらどうしよう」となってたんですが、一度も出会いませんでした。


不審者からすると、大声で歌う私の方が「不審者」だったのかなって大人になって恥ずかしくなりました……。

いや、不審な方に合わないのが一番なんですけど、今思うとなんで恥ずかしげもなく堂々と歌えていたのかなとなりました。

今だに音痴は直ってないのです。

三つ子の魂なんとやらなのかなと思いました。

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お歌が好きな小学生 綾瀬 りょう @masagow

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