3
本当はお父さんにも相談がしたい。(きっと力になってくれる)でもそれはできない。もしお父さんに占いのことを話して仕舞えば、もう未来は変えられなくなってしまうからだ。
「どうしよう。仁くん」
放課後の時間に春原神社の隅っこにある大きな木の下に座り込んでいる咲は言う。(その木の下がいつもの咲と仁くんの小さな子供のころからの作戦会議の場所だった)
「まあ、いつも通りだろ」と仁くんは言った。
「いつも通り?」
咲は体育座りをしていて、自分の脚に埋めていた顔を上げる。
「なあ、小学生のときにさ、助けた太郎のこと覚えてるだろ?」
「覚えてる」と食い気味で咲は言う。
仁くんが言っているのは、本来なら事故で亡くなる運命だった子犬の太郎のことだ。咲は仁くんと一緒に太郎を助けた。占いから未来を予測して、行動して、その未来を変えたのだ。咲の占いは百パーセント絶対に当たるが、占いの結果を知った上でその占いを回避しようとして意識的に咲が行動することで、その未来を変えることもできた。(占いの未来を変えられることがわかったときは本当に嬉しかった)
「みんな助けようぜ」
にっこりと笑って(あぐらをかいて座っている)仁くんは言う。
「私だってそうしたいよ。ても三万人だよ。みんな助けるなんて無理だよ」
泣きそうな顔をして(実際に泣いていたかもしれない)咲子は言う。
「できるさ。咲なら。いや、違うな。俺たちなら絶対にできるよ。咲」仁くんは言う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます