ストーム:2025

Hello

プロローグ

2100年。この年、地球を巻き込む、いわゆる“第三次世界大戦”と言われる世界全土を巻き込んだ核戦争が勃発した。

この戦争では、なんでもお構いなし。互いの国の空を核ミサイルが往き交い、毒ガスや暗殺、サイバーテロだって日常茶飯事だった。のちに“地球最悪の戦争”と呼ばれるようになったこの戦争によって、世界は大きく変わってしまった。


世界中の土壌は瞬く間に核汚染によって死の荒野へと変貌した。海洋も、同じように核ミサイルを撃ち落としたことなども重なり、場所によっては地上よりもひどい汚染具合になった。何よりも地球全体の約70%が、その機能を失ったとされた。


大陸も大きく形を変えた。まず主戦場となったユーラシア大陸は、中心部分に、衛星でも確認できるほどの大穴がポッカリと空いた。東端はモンゴルとロシアの国境付近から、西端はトルコの半分程度、南端はインドとスリランカの間、北端は正確には判っていないが北極圏付近だという。それほどの穴が、世界最強の核ミサイルを何発も撃ち込んだことによって空いてしまった。穴の深さも諸説はあるが、一説によるとマリアナ海溝と同程度なのではと推測されている。もちろん、この穴は入ったら二度と生きて戻れない。通称、“地獄の穴”と呼ばれている。生きて戻れない理由は核汚染もあるが、何より恐ろしいものがまだある。

また、北アメリカ大陸も55%が蒸発、95%が機能を失った。南アメリカ大陸も、30%が蒸発、60%が核により汚染させ、荒廃した。

アフリカ大陸は5%が蒸発、15%が機能を失ったが、比較的被害が少なく、戦争後は一番の経済発展を遂げていった。

唯一戦争の被害を受けなかった大陸も存在する。オーストラリア大陸だ。ほとんど核の影響を受けず、海洋の汚染レベルも、他地域と比べても異常なレベルで違う。故に、他地域からは“残された浄土”とも呼ばれ、豊かな自然と生き物が存在する、重要な土地となった。


これらのことからわかるように、世界は目に見える様に大きく変化した。人類の居住圏もそれに伴って変化し、現在はほとんどの人類がアフリカ大陸かオーストラリア大陸に移住している。もちろん他の大陸にも人は住んでいるが、合わせても人類の約3%程しか居ないという。


あれから400年。世界はあの惨状を繰り返さないために、他人を攻撃する技術ではなく、自らを満たす技術を開発していった。核汚染に対抗するような技術も確立され始めていた。だが、それだけでは、この戦争のツケは払えなかった。我々は、恐ろしい厄災を、この地球に招いてしまったのだ。


バラバラになったこの世界で、新たな物語が幕を開ける——

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