仲直り出来ない二人
第十三話仲直り出来ない二人
俺と雫さんは棚夏狡琇(たなかこうしゅう)さんからの依頼で桀惰胤次(ますだたねつぐ)さんを殺すことになったのだけど……もともとこの二人は仲が良かったらしいし、どうにか仲直り出来ないかどうかってことを考える俺は甘いんだろうな……でも可能性がありそうなら仲直り出来ないか試してみようかな?
本当は俺この仕事向いてないんだろうけど……もうそろそろ仕事モードに切り替えないといけないよなぁ。
「雫さん、桀惰さんを見つけ次第捕縛して棚夏さんのところに連れて来ましょう。俺が指示して申し訳ないですが……まあ最終的には雫さんが決めていいんでお願いします」
神夜はいつからこの仕事をしていたんだろう、そういえば詳しく聞いてなかったな……あとで聞こうかな。
俺と雫さんはいつもは症状の出ている人しか殺してなかった……だから俺はまだちょっと抵抗があるのかもしれない、症状の出てない人"健常者"を殺すことに。
雫さんは大丈夫なのかな?
今更になるけど聞いてみようかな
その時雫さんが
「私は天夜くんが決めたことならそれに従うよ……それに私だったらバラバラにしてすぐバレそうだし……そうしたらクビになっちゃうしね。それに何か聞きたそうな顔してるけど、どうしたの天夜くん?」
「聞きたそうですか……雫さんには敵わないですね。俺と雫さんっていつも症状の出ている人しか殺してなかったじゃないですか……出てない人を殺すことってあまりなかったわけじゃないですかやっぱり俺は今でも抵抗があるんですよ。おかしいですよね、ただ症状が出てるか出てないかの違いで殺人をしているのは変わらないっていうのに。俺は雫さんも抵抗があるんじゃないかなぁって思って、それを聞きたかったんですよ」
すると雫さんが焦ったように
「そっそうねぇ抵抗……抵抗はあるかなぁ……あはは(動揺しすぎて口調変わっちゃった……そういえばまだ言えてなかったな、私が天夜くん達を虐待してた生ゴミ未満のあの親を殺したこと。いつか、そういつか言おう。でもこの仕事続けてたらいいネタにありつけそうだよね。
でもさすがにアルバイトの掛け持ちしすぎ……てはないからまあいいかな、先行投資って考えれば掛け持ちしたことで書けた小説ってことで、タイトルも考えないといけないよね……まあそれはあとでにしよう)ごめんね天夜くん私昔、人を殺したことがあるの。誰かってことは今は聞かないで、また今度教えるから。それじゃあまずは桀惰を探してとっ捕まえないとね!!」
雫さんが……人を、殺したことがある……か。
俺の勝手な予想だけど相手は俺たちの親なんだろうな。
だって変わってしまったあの人が俺たちを置いて仕事なんて行くわけがない……あの人からすれば俺たちはストレス発散の道具……みたいなものだったんだろう、だからあの人はいつも家にいた。もう優しかった昔のあの人はいないのにな、精神的にも肉体的にも追い詰められる日々……そのせいで負の感情が溜まってそれで…………って話が逸れてる
「それでは雫さん桀惰さんを探しますよ」
そして一時間ほど探し桀惰さんを見つけた。
ちなみに場所は隣町の市民会館で講演終わりの俳優さんと舞台裏の一角の部屋で薬物の取引をしていた。
俺と雫さんが舞台裏に入れたのは社長の人脈を使ったかららしい
すると桀惰さんが
「んだよテメェら……ああこいつの追っかけか?…………ダメだろここまで来たら。
こんなことしたらこのお兄さんが困っちゃうだろ君たちは何も見てないね、そうだね……ね!!…………この匂い、テメ……君たちおっちゃんの友達に会ったでしょ、その人から何か言われなかった? 例えば……殺してこいとか……ははっ冗談冗談」
雫さんが顔色一つ変えていなかったことを俺はすごいと思ってしまった
俺は少し『うそっバレた!?』みたいな顔になってしまった
「……そこの男の顔を見るに言われたんだね。あいつのことだどうせあれだろ俺が変わったとか言ってるんだろ……ふぅ、俺は変わってないただあいつと暮らすために金がいる……だからどんな手段を使っても金を集めるし自分じゃない別の誰かだって演じる。商会のトップは俺よりあいつの方が合ってる。それに商会内で症状が出るやつが多くて……ぐっううっ……そいつらとその家族をおもちゃにしてたらよぉ、すぅぐ壊れちまってつまんなかったんだよ!! テメェらはすぐに壊れるなよなぁ!! さあ、遊ぼうぜ!!」
見た感じなんだか演じているというより……なにかが憑依したような……もしかしてこの人も症状が出てるんじゃ?
まあやることは決まってる
「雫さん、やりますよ!!」
すると……まあ雫さんはいつものようになっていた……これは捕縛は無理かも
「ははははっこいつ半分症状が出てきてやがるな!! ってことはさぁ、どうしたっていいってことだよね。どうやって遊ぼうかなぁ……まずは足から…………」
雫さんがぶつぶつ言っていたのでまずはこの講演の俳優の人を避難させないといけないと思い
「……えーと、薬師武宏(やくしたけひろ)さん危ないので避難しましょう」
と俳優の薬師武宏に言ったのだが薬師さんは
「あっ危ないって何が? これから危なくなるって言うなら経験しておかないと……演技を使えるかもしれないだろ。この薬だって薬物を使った人の演技をするためにまずは経験しておかないとって思って買ったんだから、僕は避難しないよ!! だから君は好きにすればいい僕のことは放っておいてくれ!!」
そういわれても雫さんと桀惰さんが殺し合いを始めてるんだよな。
俺は薬師さんを守ることに専念しよ。
一時間後
雫さんと桀惰さんの殺し合いは人通りが多い広場に場所を変えて行われていた。
辺りは通行人の血が溢れていた。
その光景を見て症状が出始める人たちまで現れさらに酷い状況になっていた。
棚夏さんは症状が出た通行人の一人に殺されてしまった。
両脚を捥がれ両腕を捥がれ逃げられないようにされたうえに全身の皮膚を剥がされ臓器を引き摺り出され止めで頭を鉄パイプで殴られぐちゃぐちゃにされて殺されていた。
結局棚夏さんと桀惰さんを仲直りさせれなかった。
俺がそう思っていると銃声が聞こえ症状の出ている人が倒れた。
そして銃声の鳴った方を見ると
「もう雫さんこんなゴミになに手こずってるんですか? 先輩たちに何か言ってよ先輩、翔夜くんもさ!!……って居ないし、もう天夜さんを見つけたからってもう」
鏖宮鸞(おうみやらん)がいた。
神夜と翔夜が走って俺の方に向かっていた。
次回みんなでお出かけお楽しみに!!
殺意増幅障害という新たな障害が当たり前になってしまった俺たちの"普通の日常"の話 暗黒神ゼブラ @ayumu20
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