暗澹、ときどき愛
春崎慧
1
誰も彼も敵に思えた七時半 横断歩道の白だけを踏む
踏切の音に急かれて星流る 誰の願いも背負うことなく
なにひとつ君に勝てない年の暮れ放物線に交点を描く
温度がある、から歴史がすきだと君は断頭台を塗りつぶしつつ
何もない僕が英雄になるために君がひとりめ死んでください
「できるなら天使になりたい」うずくまる君のとなりでぽつりと悪魔
足して百になるため縋ってしまうのでじぶんひとりで百になりたい
変わりゆく君を私は愛せない 白詰草を踏み潰す、春
避難口のランプ点灯逃げましょうあなたが壊れて消えないように
いつまでも君が好きだと思ってた edの恋を飲み下す 「苦」
暗澹、ときどき愛 春崎慧 @k-harusaki
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