1.01版ダンジョン/新人育成要素追加

第32話 1.01アップデート

そんな訳で、俺達はダンジョンにやって来たんだが……。


「……いや、広くねぇか?」


ダンジョンがかなり広くなってる。


俺は、端末のお知らせ欄を読む。


《お知らせ》

ダンジョンにアップデートが入りました

・冒険者の人数に合わせて、ダンジョンを広くしました。広さは従来のダンジョンの5倍となっております。しかし、構造は変化していません

・冒険者の人数に合わせて、モンスターの総量と生まれる頻度を増やしました

・早く魔法を使いたいとの声にお応えして、一階層のスライムに『無魔法』のスキルスクロールがレアドロップするようにしました。

・一階層に『ファイアスライム』『ウォータースライム』『アーススライム』『ウィンドスライム』等が出現するようになりました。属性スライムの出現は、ダンジョンの種類によって異なります。属性スライムのレアドロップは火、水、土、風の基本四属性魔法のスキルスクロールです。


ははあ、なるほど。


ソラがアプデを入れたのか。


良調整だ、偉いぞ。


では、ダンジョン拡張の理由も分かったところで、早速、ダンジョンに突撃して行こうか。




と、そんなところで、ついでに端末を確認すると、端末に機能が増えていた。


『パーティ管理アプリ』だそうだ。


これは、SNSアプリのように、画面に魔法陣を浮かび上がらせて、それを端末の写真機能で撮影するとパーティ登録ができる!みたいな機能だ。


このアプリでパーティを結成できる。


パーティを組んだ冒険者のグループは、ポイントや経験値が平等に分配されるのだ。


その他にも『フレンド管理』とかいうアプリがあって、これは、パーティ結成と同じ感覚でフレンド登録ができるってアプリだ。


このアプリでは、フレンド間でのポイントやアイテムの取引が可能だそうだ。


また、ダンジョン内電話にも使える。


この辺り、ソラが言うには、MMORPGを参考にしているらしい。


そうそう、ソラだが、俺は最近儲かっているので、いくらか金を渡してやった。


するとその金でMMORPGを始めたらしい。


タイトルはファイナルファンタジスタ14だそうだ。後はぷそ?だかラグナレクオンライン?だとか、なんだか色々やってるらしい。


それを参考にして、ソラは、ダンジョンのシステム面を整備したようで……。


だがまあ、MMOにありがちな、同じダンジョンが何個もあって、たとえ同じ入り口から入っても、パーティごとに違うダンジョンを攻略する……、とかはないと言っていた。


全部、一律同じ。


同じ入り口から入れば、同じところに出る。


別々のパーティ同士がダンジョンで出会う。


ソラが言うには、ダンジョンで出会いを求めるのは間違いではないらしいそうだ。


……なんだかアイツ、段々とオタク趣味っぽくなってきてるような?


最近は俺が渡した金で、TRPGとか言うのの本を買い集めたり、よく分からんラノベを集めたりしている。


また、今後の冒険者の具合によっては、『クランシステム』や『ダンジョンシティ』なんかも実装するかもしれないとか言っていたが、具体的にそれがなんなのかは不明だ。


まあ恐らくは、冒険者が集まって冒険者の会社というかチームというかを作れるシステムだろう。それと、ダンジョン内に街か……。


中々に壮大な計画だが、今の日本にそんな余力はないと思うぞ。




まあ、そんな感じ。


とりあえず、六人でダンジョンを軽く流す程度に攻略しよう。


まずは、チュートリアルの五階層までをクリアせねば。


ここ、栃木日光の、俺の家の蔵にあるダンジョンは、この半年で大きく変わっていた。


蔵は取り壊され、別の土地に移転させられ、ダンジョンを覆うようにコンクリの事務所ができていた。


また、家の隣の土地は国に買い取られて、シャワールームや貸金庫、倉庫なんかが建ち並ぶ。


その他にも、自衛隊員用の宿舎もできており、常に自衛隊員が管理人としてダンジョン周辺を警備している。


本来なら、俺の家そのものも地上げされてもおかしくないのだが、そこは、俺が嫌だなーと言ったら、それがソラ経由で政府に伝わったらしく、「あ、あんたほどの実力者がそういうなら……」と、家は残された。


しかし……、周りが全部ダンジョン関連施設になるのに、ポツンと我が家だけ残すのは色々とアレなので、ダンジョンで稼いだ金が貯まったら、どどーんとデカい屋敷でも建ててやろうと思う。


さあさあ、その為にもダンジョンだ。とっととダンジョンに入ろう。


まず、ダンジョンに入るには、このダンジョン最寄りの事務所に行き、そこの受付に冒険者免許を提出する必要がある。


この際に、他にも何人も冒険者がいて、しばらく待たされた。


二、三十分後くらいに、受付に呼ばれる。


そして、冒険者免許を見せてくださいとのことなので提出。


「はい、冒険者免許を確認しました。ダンジョンアタックは何時間ほどを予定していますか?」


そう、そして、ここでこう聞かれる。


ここで、どれほどの時間潜るか答えて、指定の時間まで戻らなければ捜索隊が出るそうだ。


「今日の午後六時までだな」


「何階層まで攻略なさいますか?」


階層も聞かれる。


「とりあえず、五階層までは今日中に到達したい」


それを聞いた受付は、パソコンにその情報を入力して……。


「はい、では、こちらに免許をスキャンしてください」


専用のスキャナーを渡してきた。


冒険者免許には、ICチップが埋め込まれており、それでダンジョンの出入りの記録を取るそうだ。


因みに、この冒険者免許は、迷宮端末のカバーに収納できるので、そこに入れておけば破損を防げる。


「では、どうぞ」


入場を許可されたので、ダンジョンに入る……。

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