第30話 テスト後の一幕

俺、ジジイ以下御影流門下生一同、両親、杜和、キチレンジャー。


この全員が無事、テストに合格した。


俺や、御影流の使い手達は、武力測定テストで自衛官をボコボコにして合格。


父親は体力テストで、フルマラソンを二時間ちょっとで走り抜き合格。


母親と黄場は知識テストで百点満点で合格。


青峯と緑門は知力テストでIQ200を叩き出して合格。青峯は実力で、緑門は直感でだが。


桃瀬と杜和は特技テストで合格。


因みに、俺の嫁(予定)である白崎杜和の特技は『模倣』と言って、相手の行動をコピーすることだ。


こいつは、一度見た動きなら、自分の肉体で再現できる限りは再現できる。


その力で、ピアノやバイオリンなんかの超絶技巧なんかも、映像さえあれば真似できてしまう、ある種の天才だ。


しかし、変人ではないのでキチレンジャーにはカウントされていない。だが裏では、キチレンジャー候補とか、キチレンジャー追加キャラとか言われているらしい。かわいそう。




さてさて、合格したな。


免許の配布のために、公民館に呼ばれた。


と、思ったんだが……。


「えー、みなさんはとりあえず、仮合格ということで……。こちらの、ダンジョンに関する試験を来週に行うので……」


どうやら、運転免許レベルの書類試験があるようだ。


中身は、ダンジョンで危険物を拾った時どうするか?など、そう言ったことのテストだそうだ。




来週のテストに向けて、杜和と家で勉強をする。


「じゃあ、『ダンジョンから取れた素材は、そのまま持ち帰って良い』◯か×か」


居間の机の向かい側にいる杜和が言った。


「×だな。ダンジョンから取れた素材は、何がどれだけ取れたのか、報告書を作成して提出する義務がある」


俺が答えた。


「次っす、『報告書は、パソコンで制作し、書面にプリントアウトしなければならない』◯か×か」


「×だな。報告書はソラが気を利かせて、端末で自動作成してくれるようになっている。A4のコピー用紙に、端末を、報告書アプリを開いて翳せば、報告書が出来上がる」


「そしたら……、『ダンジョンから取れた毒物等危険物は、即座にポイントに変換するか、別途届け出が必要』◯か×か」


「◯だな。ダンジョンから得られる危険物は、報告書とは別の申請をして、認可が下りなければ所持できない。なお、認可が下りるまでは、危険物は指定の倉庫で保管しなければならない」


「じゃあ、今度は……、『ダンジョンから取れた素材やアイテムは、ポイントの量から課税される』◯か×か」


「×だな。あくまでも、課税されるのは、素材を公的機関に売却した時の利率のみだ」


「じゃあ、最後に……、『冒険者は個人事業主なので、確定申告をしなければならない』◯か×か」


「◯だな。冒険者は個人事業主扱いで、毎年確定申告が必要だ」


「……大体覚えたっすねぇ」


「だな」


覚えることはそう多くはない。


運転免許のように、一夜漬けどころか、下手すると一時間くらいテキストを読めば余裕な程度のテストだ。


「覚えちゃいましたし、今日はもう休憩しましょっか?」


「ああ」


ということで休憩。


休憩というのはもちろん……。




———「ああっ!すごいっす!」


———「そこっ、いいっ!」


———「そこだめぇぇぇ!おかしくなっちゃうっすよぉーーーっ!」




休憩である。


休憩したので、ベッドの上でダウンする杜和を置いて、飯を作る。


今日は……、回鍋肉と中華スープで良いか。


ザッと料理して完成したところで……。


『ご主人ー』『ご主人様ー』


日和と桐枝が来た。


「おう、桐枝。ハヤに餌やってこい」


『はい、分かりました』


っと、じゃあ、飯にするか。


その前に、杜和を起こしてこよう。


「杜和、飯だぞ」


「ん……、はいっす」




「「いただきます」」


飯を食う。


「いやー、アレっすね。最初は、私より先に抱かれた日和と桐枝に嫉妬したんすけど、今もうそんなん全然ないっすね」


「どうしてだ?」


「先輩、絶倫過ぎなんすよ……。私一人じゃ壊されちゃうっす」


「そりゃ困るな」


「三時間も耐久でやられるとは思わなかったっすよ……。お陰で腰がガクガクっす」


「大変だな」


「先輩はもう、人間辞めてるんすから、手加減しなきゃダメっすよー?」


「おう」


基本的に、俺はそこまで喋る方じゃない。内心では色々考えてはいるのだが。


一方で、杜和はお喋りだ。


だから、杜和の話に俺が付き合う形になる。


「食べ終わったらシャワー借りて良いっすか?」


「ん?もうここはお前の家でもあるんだから、好きに使って良いんだぞ?」


「えへ、そっすか!えへへ……!」


杜和はなあ、今まで付き合ってきた他の女と違って、分かりやすいから良いな。


嬉しい時は嬉しいと言ってくれるし、不満は口に出してくれる。


俺は、普通の女の、あの察してオーラってのが大嫌いだ。


杜和は分かりやすい女で、察してなどと言う受け身の態度はしない。


「「ごちそうさま」」


「さてと!じゃあ、今日は泊まっても良いっすか?」


「良いぞ。あーっと、どこやったかな?お、あった。ほらよ」


「え?これは?」


「うちの合鍵」


「い、良いんすか?!」


「良いに決まってんだろ」


「えへへへへ……。じゃあ、お母さんに電話するっす!……もしもし、お母さん?杜和っす!カレシの家に泊まるんで、今日は帰らないっす!え?避妊?してるっすよ!」


そんな感じで、電話をした後は、俺にくっついてきた杜和。


可愛い奴め。


「先輩〜、今度、私の両親に会って欲しいっす!」


「良いぞ」


「あっ!それと、先輩のご両親にも挨拶するっす!」


「好きにしろ」


「先輩のお爺さんには挨拶したっすからねー。お爺さんはまあ、かなり厳しい方っすけど、やっぱり鍛えられるっす」


「ジジイはなんつってた?」


「物覚えがいいって褒めてもらったっすよ!」


「へえ、あの腐れジジイが人を褒めるたぁ珍しいな。明日は槍でも降ってくるのかね」


そんな話をしながら、寄り添って。


「あ、自衛隊のダンジョン特集っすね」


「ん?ああ、そうだな」


テレビを見ながら眠くなるまで二人でだらだらした。

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