第22話 雪原ステージ

十二月中は検査で潰れた。


あの身体能力テストの後は、レントゲンやら採血やら色々やられた。


俺だけじゃなく、早太郎と日和、桐枝もだ。


因みに、全員強くなり過ぎて注射針が刺さらなかったので、俺が刀で斬って血を出した。


俺はどうやら、普通の人間と大きく成分は変わらないようだ。


一方で、早太郎、日和、桐枝は、半分くらいが地球上に存在しない謎物質で構成されているらしく、研究員一同が大喜びしていた。俺も、一割程度がその謎物質に入れ替わっているとのこと。


「それって、何か問題があるのか?剣が振れなくなるとか?」


よく分からんが、剣が振れるなら別にそれで良いのでは?と、俺が言ったら、何故か研究員一同が総ドン引きしていたが、これはまあ良いだろう。


そして、俺の武具や、早太郎達の武具も検査に回された。


それにより、俺は新年までダンジョンに潜れなかった。




武具が返却されたので、早速ダンジョンに潜る。


三十一階層。


うん、予想通り雪原だ。


寒さ耐性スキルがあって助かったな。


この階層では雪男、イエティが出た。


イエティは『氷の息』を使ってきた。


だからなんだって話だが。


氷のトラップや落とし穴なんかもたまにあるが、こんなものは武道家ならば見て分かる程度のもの。


それに俺は、足場だの罠だの毒だの麻痺だの体調だの……。殺し合いの外側にある要因のせいで戦えないのは、戦士たる資格がないんじゃないかなーって思うんだよね。ごちゃごちゃ言う前に剣を振りゃ良いんだよ。


『氷の息』スキルスクロールをゲット。


討伐で八千、素材が三千。




三十二階層。


氷のエレメント。


『氷魔法』を得た。


俺の火属性攻撃にアホみたいに弱くて笑える。


討伐で八千、素材は八千。




三十三階層。


マシンナイトとマシンホース。


「えっ、そう言うのアリなのか?」


ファンタジーなのに?


全身機械の騎士と馬が現れた。


『beep』『lilili』


ははーん?なるほどな?


めっちゃアホみたいに湯気が出ている。つまり、暑いところで戦うとオーバーヒートしてしまう訳だ。


このクソ寒い雪原ステージだと、外気温がクーラーの代わりになってくれる、と。


だから、全力での戦闘が長時間できちゃう訳だ。


その実力はかなりのもので、針の穴を通すかのような精密な動作で襲いかかってくる。


とは言え、精密な動きは読みやすい。


こいつは機械らしく、最大効率の戦いしかしない。


戦いには、時に不合理な行動をしなきゃならないときもあるんだが、こいつは機械だからその辺が分かっていないようだ。


『精密動作』と『気絶耐性』を持っていたのでゴチになる。


ナイト、ホース共に討伐で一万五千、素材が一万。




三十四階層。


ゴーレムアイスブレイダー。


鋼鉄の細いフレーム、四本の腕。


両手に氷のブレードを生やした鋭角で近未来的なロボットっぽいフォルムのゴーレム。


鋼鉄よりも硬い氷の刃を射出したり、振り回したりして戦うようだ。


四本の腕に四本のアイスブレードを持っている。


まあ、難しい問題じゃない。


相手が四本の剣を持っているなら、俺が四倍の速さで動けばいいだけだ。


威力より手数を重視して、四本の剣と打ち合う。


で、四本の剣をへし折ってやる。


再生成には十秒くらいかかるらしくて、その隙を突いてやればあっさり斬れた。


『氷刃』スキルをもらった。


討伐で二万、素材が一万五千。




三十五階層。


氷の妖精、ジャックフロストだ。


『『『『ヒハハハハ……!』』』』


群れで遠距離から氷魔法をめちゃくちゃに放ってくる。


しかも、詠唱をしていない。


更に、『吹雪』を吹かせているので視界が悪い。


吹雪に紛れて、死角からガンガン氷魔法を放ってくるのは厄介だ。


『任せて』


日和が風魔法で吹雪を払ってくれた。


『『『『ヒァ?!』』』』


吹雪と言う名の鎧が剥がれ落ちたジャックフロストは単なるカモだった。


『吹雪』のスクロールを持っていたのでキープ。


討伐で二万、素材が一万五千。




三十五階層のボスは……。


『ハァアァ……!』


ズタボロの具足と刀を装備した死体。


これは……、落武者か。


『ヌゥン!!!』


「おっほ!いい踏み込みだ!」


しっかり武術を修めた人間の動きだ。


雪の積もる雪原だと言うのに、踏み込みは素早く、しっかりしている。


振りの円滑さ、手首の柔らかさ、どれをとっても一人前だ。


『ハァッ!』


「おおっ!フェイントも入れてくんのか!」


良いね!


今までの人型モンスターのように、単純にガンガン刃物を叩きつけてくる脳筋バカじゃない。


フェイントを入れて惑わせ、わざと隙を見せて攻撃を誘ったり、足払いなんかも織り交ぜてくる。


更に。


『ツバメ……ガエシッ!!!』


「ヒュウ!面白いな!一度振っただけで二回斬れるのか!」


一度剣を振るだけで、任意の方向から同じ斬撃を繰り出せる『燕返し』と言うスキルも使ってきた。


「良いね!良いね!スリリングでおもしれぇよ!」


だが……。


「もう全部見た。ありがとよ、死ね」


烈火の業をプラスした……!


「御影流……、『白夜』!!!」


白夜は、片手で太刀を振り抜き隙を見せて。


『オオオッ!!!』


相手の斬撃を誘って。


もう片方の手で小太刀による居合斬りを繰り出す技だ。


『アアッ!』


斬。


落武者の首が焼け落ちる。


「ふう、良い殺し合いだった!グッドゲーム!」


落武者からは『燕返し』をゲット。


討伐で五万、素材が千。




三十一〜三十五階層のレアモンスター。


「おっ、これは……?」


恐らくは……、ミスリルゴーレム?


身長3m程の、青白い鉱石でできたゴーレムだ。


「斬っ……、れねぇ!」


硬えなこいつ!


『金剛』を持ってやがるな?


なら魔法はどうだ?


「『炎槍』!」


『………………!』


「効かねえ?!『魔法耐性』とかか?!」


あ、いや、ちょっとは効いてるみたいだ。


なら……!


「より強い魔法を打ち込むか」


食らえ、烈火の業による新しいブレス攻撃を!


「『放射熱線』!!!」


これはね、触れると爆発ゥ……、するんですよ。


はい、爆発。


ミスリルゴーレムはバラバラになった。


『魔法耐性』持ってやがった。


討伐報酬は七万!素材は何と十五万!!!




では、ステータス開示!


×××××××××××××××

赤堀藤吾

人間

Lv67


HP:350

MP:287

STR:289

DEX:276

VIT:214

INT:199

MND:378


SKILL

《烈火の業》《絶燃破壊》《縦横無尽》《咆哮》《金剛》《斬撃波》《爆砕波》《燕返し》《虚空瞬動》《再生》《火属性耐性》《寒さ耐性》《魔法耐性》《気絶耐性》

×××××××××××××××


×××××××××××××××

早太郎

大和大狼

Lv58


HP:212

MP:160

STR:189

DEX:287

VIT:179

INT:148

MND:196


SKILL

《縦横無尽》《虚空瞬動》《魔力爪牙》《咆哮》《強化》《光線》《精密動作》《テレパシー》《再生》《火属性耐性》《寒さ耐性》《魔法耐性》《気絶耐性》

×××××××××××××××


×××××××××××××××

日和

ケライノーウィッチ

Lv55


HP:191

MP:224

STR:160

DEX:331

VIT:121

INT:190

MND:110


SKILL

《虚空瞬動》《魔力爪》《連撃》《強化》《テレパシー》《旋風刃》《風魔法》《連続魔法》《再生》《火属性耐性》《寒さ耐性》《魔法耐性》《気絶耐性》

×××××××××××××××


×××××××××××××××

桐枝

ドリアードクイーン

Lv54


HP:178

MP:279

STR:110

DEX:104

VIT:134

INT:297

MND:170


SKILL

《魅了》《虚空瞬動》《魔力爪》《硬化》《テレパシー》《光魔法》《連続魔法》《治癒》《再生》《火属性耐性》《寒さ耐性》《魔法耐性》《気絶耐性》

×××××××××××××××


現在は二月半ばだ。


攻略ペースが落ちているが、それは、一階層ごとの距離が長くなっていることと、敵が強くなっていること、それと、スキルスクロール集めに周回していることが挙げられる。


それと、検査だ何だと忙しかったのもある。


さて、明日には、ダンジョン研究所が稼働する予定だ。


これから忙しくなるぞー。

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