また、一人から始まる。

にのまえ(旧:八木沼アイ)

プロローグ

 ある者は正義感に。ある者は恋愛に。ある者は部活に。ある者は友人に。ある者は家庭環境に。ある者は普通に。ある者は過去に。


 陰るような過去、あなたにはあるだろうか。高校生活、思い出は千差万別である。嬉しくて楽しい生活があれば、きっと、そうでない人もいる。


 青春群像劇に描写されるのは「輝きのある部活、甘酸っぱい恋愛、親友と駄弁る休み時間」といった要素。


 まさしく、「青春」だ。


 しかし、この青春群像劇は一味、二味と違う。


「行ってきまーす」


「いってらっしゃいー」


 そうこうしているうちに、一人、また一人と、学校という物語の巣窟へと向かっている。彼ら彼女らは一体、どのような作品を残すのだろうか。



「映像部ー。もういい?」


「はーい!もういけるよー!カメラもセッティングおーけー」


「はーい、じゃあいくよー」


 いろんな人生がある。かくいう私も、私の人生を歩んできた。「高校生」という経験を大体の人が経ている。


「それじゃ撮影いきまーす。演者さんも準備いいねー」


 これは誰かの断片的な記憶に経験、全てを詰めた、思い入れの深い作品である。


『大丈夫ですー』


 度々思う。過去に戻れたらどれだけいいか。


「では、昨日の雨で撮れなかった、屋上のシーンからいきまーす」


「はーい」


 もちろんそんなことはできない。


「カウントダウンー。さーん」


 でも、あの日が、あの選択をした時間が、今の私を構成しているのだと思う。


「にー」


 だから、その日々の選択に後悔しないように心掛けている。もちろん、それは難しいかもしれない。でも、私の選択に間違いはない。


「いーち」


 いつか、私の作品で誰かの人生を変えるような作品を作りたい。その第一作目として捧げる。『また、一人から始まる』を。


「よーい、アクション!」

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