第2話 お風呂
あの人。
つまり凛子の姉に当たる人物。
それは...凛音だ。
彼女の義姉だが...彼女はあの人と呼んでいる。
それは俺を裏切った事を怒っているのだと思えるが...正直、凛子もあまり信頼してない。
何故かは分かると思う。
俺は凛音を信頼していたから。
全てぶっ壊された。
俺には何の望みも残されてない。
だから凛子も当てにならない。
「手が進まないな」
新聞の切り抜きを進めるその手が止まる。
怒り、悲しみなどでだ。
正直...この状態で死んでないのが奇跡だとは思える。
俺はショックを受け過ぎたから...。
因みに言い忘れたが俺は病院の精神科外来にも行っている。
エビリファイとか飲んでいる。
それは...自らを治療する為じゃない。
ただ疲れたから暴走を抑えたいだけだ。
周りに迷惑とか掛けたくないしな。
「...」
俺は静かに切り抜いた新聞を見つめる。
正直、確かにこれは迷惑は掛からないとは思っているが...実際、何をしているんだろう的な感情によくなる。
それは...学校の勉強をしなくて良いのか、という感情。
実はまだ勉強に対しては吐き気が止まらない。
高校を思い出すからだろうけどこのまま...では絶対にヤバい。
俺はそう考えながら目を閉じて開ける。
それから考えつつ新聞の切り抜きを貼った。
涙が止まらなかった。
溢れて落ちる。
「何してんだろうな。俺」
そう呟きながら俺はファイルに新聞を貼っていって情報を収集する。
するとインターフォンが鳴った。
もうそんな時刻か?
俺はインターフォンを覗く。
そこに凛子が立っていた。
そうか。もうそんな時刻か。
そう考えながら俺はインターフォンに応える。
☆
凛子は元気そうな感じで俺を見てくる。
笑顔満点。
髪の毛は長髪の黒。
腰まで長髪であり手入れが大変そうだ。
究極の美少女とはいえる顔をしている顔立ち。
目が大きく優しげな性格をしている。
まあ俺と親しみを持っているのがおかしいぐらいの美少女。
俺はその姿を見ながら「どうして今日は来ようと思ったんだ」と聞いてみる。
すると凛子は「そうですね。今日は訪問したい気分だったので」と凛子は答えた。
「先輩それはそうとお風呂入りました?結構臭いです」
「体調が悪くて2日ぐらい風呂に入れてない」
「なら入りましょうか。一緒に」
「馬鹿野郎かお前は。一緒に年頃の男女が入れる訳無いだろ」
「水着ありますから」
何でそんな物を持っているのか。
そう思いつつ俺は凛子を見る。
すると凛子は「多分先輩はお風呂に入ってないと思いましたから」と笑顔になる。
そんな事を知って水着を持って来たのか?
何の為に。
「待て。俺と一緒になんて嫌だろ。風呂とか」
「先輩。真面目な話をします。ドン引きかもしれないですけど聞いて下さい。股間とか性器とか洗わないと直ぐに病気になります」
「いや。女子がそんな事を言うなよ」
「...介護職ですから。親が。だからまあ私はそういうのら慣れています」
だからといってと思ったが。
彼女にこれ以上、あれこれ言っても多分スルーされるかもな。
そう考えながら俺は溜息混じりに「分かった」と返事をする。
「宜しい。ならば入りましょ。嫌な事はすぐ終わらせましょう」
「お前という奴は全く」
「私は生真面目ですから」
そして何故か俺は凛子と一緒に風呂に入る事になった。
それから俺は着替えて水着を着てからそのまま風呂に入った。
するとマジに凛子がビキニで風呂にマジに入って来た。
☆
「背中流します。熱かったら言って下さい」
「あ、ああ」
それから凛子に背中を流される。
そして俺は恥じらいつつされるがままで居た。
何故こんな事に。
そう思いながら俺は凛子を鏡越しに見る。
すると凛子は石鹸の付いた布で背中を擦ってきながら「痒い所は無いですか」と言ってくる。
「痒みはないが俺と風呂なんて嫌気が差さないか?俺はお前の立場なら嫌気が差すぞ」
「仕方がない先輩なので仕方がなく入っています。それだけです」
「...変なヤツだな」
「ふふ。私は昔から変なヤツですよ。間違いなく」
俺はその言葉に苦笑する。
それから凛子を見る。
凛子は笑みを浮かべていた。
そんな姿に俺は前を見る。
「なあ。凛子」
「はい。先輩」
「お前が始めから居たら。この世界はどんな世界になったかな」
「...先輩...」
「...なんてな。下らない事ばかり。過ぎた今じゃな。...すまないな」
すると凛子は予想外の行動をした。
俺を背後から抱きしめたのだ。
俺は赤面してから「お、おい」と慌てる。
凛子は俺の髪を触る。
「私は色々ありました先輩をこれから支えます。頑張ります」
「え?それはどういう意味だ?」
「ふふ。どう捉えても構いません。先輩」
俺は訳が分からず目をぱちくりした。
それから凛子を見る。
凛子は湯気のせいか耳まで赤くなっていた。
暑いのか?と思うが...。
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