唯一人
大宮
#1 貴方へ
-あの人は、光のような人でした。
これを私の遺書といたしましょう。
これを貴方への恋文といたしましょう。
死とは常に、生きているものの隣にあります。
それは逃れようのない天命のようにも思います。
来世というものがあるのなら、もう出会わない運命でありたいのです。
死のうと思いました。
山もなく、谷もなく、平坦な道をノロノロと歩いて参りました。
私のつまらぬ人生など、小説の1ページすら満たすことなく幕を閉じるのでしょう。
誰にも気付かれぬうちに、そっと静かに幕を閉じるのでしょう。
これは生まれて初めて抱いた感情でした。
貴方と出会って初めて抱いた感情でした。
生きたいと思いました。
本気でそう思ってしまったのです。
ふぅ、と風が吹き、蝋燭の炎が揺れるかのようでした。
私の中の命の価値とは、こうも簡単に揺れ動くものなのだと知りました。
私には貴方しかいないのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。