唯一人

大宮

#1 貴方へ

-あの人は、光のような人でした。



これを私の遺書といたしましょう。


これを貴方への恋文といたしましょう。


死とは常に、生きているものの隣にあります。


それは逃れようのない天命のようにも思います。


来世というものがあるのなら、もう出会わない運命でありたいのです。


死のうと思いました。


山もなく、谷もなく、平坦な道をノロノロと歩いて参りました。


私のつまらぬ人生など、小説の1ページすら満たすことなく幕を閉じるのでしょう。


誰にも気付かれぬうちに、そっと静かに幕を閉じるのでしょう。



これは生まれて初めて抱いた感情でした。


貴方と出会って初めて抱いた感情でした。


生きたいと思いました。


本気でそう思ってしまったのです。


ふぅ、と風が吹き、蝋燭の炎が揺れるかのようでした。


私の中の命の価値とは、こうも簡単に揺れ動くものなのだと知りました。


私には貴方しかいないのです。

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