ファミレス
小学校の時の同級生から連絡が来た。
久々にこっちに戻ってきたから、会いたくなったんだと。
別にちっとも仲良くはなかったし、なんなら顔も曖昧だったのだが、どうしても会いたいと言うので会いに行った。
飯奢ってくれるって言うし。
暇がないので深夜に会った。
ファミレスって便利だよな。いつでもそこそこ美味い飯が食える。有難い話だ。
同級生のタケヤスは、絶対に儲かる話を始めていた。
絶対に確実に間違いなく儲かる話があるんだそうだ。
なるほど、確かにそういった話があるならば、何の縁もないも同然の俺にファミレスを奢るくらいはどうってことはないだろう。
二時になったので、バイトくんが皿を叩き割り始めた。
絶対に儲かる話なんて、是非とも聞きたいものだ。
俺は乗り気になって耳を傾けた。ついでに唐揚げも追加注文した。
バイトくんはドリンクバーの前で踊りながら、猫ロボットの真似をしていた。
やめてくださいにゃ!と繰り返している。先月よりモノマネが上手い。
『この店を周りの人に薦めたいと思いますか?』
アンケートが尋ねてくるので、とても薦めたいを押した。
タケヤスは資料を広げたまま、何か気もそぞろに水を飲んでいた。
絶対に儲かる話、絶対に聞きたいが? 教えてくれよ。
バイトくんは無料の水をコップに入れ、頭から被っていた。
やめてくださいにゃ!はもう四十回くらい響いていた。
トイレに行ったら、タケヤスは席に居なかった。
伝票もそのままだった。
は?
は?
奢れや。
絶対に儲かる話で儲かってんだろうが。
2800円も払えないで儲かってるとかほざくな。
仕方がないので、泣く泣く払って出た。
明日も仕事だ。
頑張ろうな。
「ありがとうございましたにゃ!」
「頑張ってな」
「ありがとうございますにゃ!」
「うん。ほんとに」
泣いてたような気がしたが、気づかなかったことにした。
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