チェリーブロッサム
平成生まれ昭和人間
チェリーブロッサム
マッチングアプリで彼女と出会った。
つまらない日常に刺激を求め登録した出会い系アプリ、私はその危険な森を探索してみたくなった。こんな人もアプリに登録しているのか、そんな独り言をつぶやきながらグッドを押す。
趣味が合う、いい子そう、それだけだ。でもなぜか、彼女に会ってみたくより深くまで知りたいと思ってしまった。彼女は私が今まで会ったことのない様な闇を感じることのできないヒトだった。それが私の心を動かした。様々な所に行き、友達に紹介した。
ある日、彼女の目に暗闇が見えた時があった。気のせいだと思い、いつも通り彼女を抱いた。なぜだかその時から彼女の心がわからなくなる時があった。そんな心に寂しさを抱えながら暮らす中で、魅力的な女性に出会ってしまい一夜の過ちを犯してしまったのだった。彼女は何も気づいていない様子で、半年が経った。
今日は話があるの、そんな彼女のメッセージに驚きを覚える。様々な予測によって脳がかき回される。揺らぐ気持ちを抑えながら待ち合わせ場所へ向かう。
彼女というヒトが立っていた。どこか店にでも入ろう、そう言おうとしたが彼女の目は暗闇が埋め尽くしていた。今日はどうしたの、少し笑みを顔に着け問いかけると彼女はあと5分、それでおしまい、と言った。真っ白になった脳をフル回転させ彼女が放った言葉の意味を探る。しかしさっぱりわからなかった。しばらく言葉が出ない、とにかく時間がない、焦る。あと4分。どういうことなんだ、少し怒りを交えながら彼女に聞いた。私の事何も考えていなかったんだね、そう言われた時に私は声が出なかった。彼女はマッチングアプリのサクラでヒト型AIだった。彼女の目の奥で光が点滅した。あと3分。言ってる意味がさっぱりわからなかった、つまり彼女はロボットで男のメッセージの相手をするサクラだったのか。あと1分。花吹雪が舞い、思わず目を閉じる。彼女の姿はもうなかった。足元には、チップと共にメッセージが残されていた。
さようなら、半年分の体験報酬です。
チェリーブロッサム 平成生まれ昭和人間 @haru611
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