第46話 記憶再生

「現実を見るときだ。トンチキ共」


 飛んだ先は、迷宮の第一層。攻略前は、戻ることも出来ず、進むには全クソトカゲを殲滅しないといけなかったが、攻略後はそんなことも無く、普通に帰ることも進むことも出来るようになっていた。


「精々、ない可能性求め続けてあがきな。大丈夫だって、フェイルノートのおかげで死んでも復活するようになってるから────安心して閉じ込められろよ」


 怒号と悲鳴、恨み節を聴きながらリーダーっぽい女にとある魔法を掛けてからこのダンジョンから去る。


「お、おかえりー」


「おうただいま。すまん浩樹。一旦ス○ブラ辞めてくれね?」


「にん?」


 トンチキ集団を置いて帰還すると、霧矢がス○ブラをしながら出迎えてくれたが、これからとあるものを見せたいので、申し訳ないが一旦辞めてもらう。


「あら、早かったわね各務くん」


「おかえり~。あの人たちはどうしたの?」


「む。戻ってきたか」


 俺が戻ってきたのを感じて、須貝さん達もゾロゾロと集まってくる。ちなみにここは霧矢の部屋である。


「……あのさ、毎回疑問に思ってるけど、なんで俺の部屋なの?」


「諦めろ霧矢。お前の初ダンジョン攻略配信をアーカイブで見た時から、こうなる運命だったんだ」


「頼むからそれだけは今すぐ忘れろください」


 あー、霧矢と朱里さんの『ドキッ!ハプニングだらけのダンジョン攻略』ね。最初から最後まで視聴者に生暖か~いコメントで埋まってた。


 後ろでワイキャイしている霧矢と直樹のコントを聴きながら、俺の右手に持っていた光り輝くディスク状の物をそのままテレビに触れさせる。


「御神楽くん、何それ」


「DVD、かしら」


「そ。今から面白いもんが見れるぞ」


 床に座り込んだ俺の左右を素早くゆかりと早川さんが陣取ったのにも特に反応しないでそのままテレビを見る。


「ふむ、これはどういったものだ?」


「記憶再生魔法といいまして、対象者の任意の記憶を取り出して、こうした映像媒体で再生することが出来るんすよ」


 パラベラムだったら、この魔法専門の魔法使いとかいて、それはもう重宝されていた。主に、汚職とか違法なことをしている決定的証拠を記憶から抜き取るために。


 すんごい人だったら人生まるごと抜き取れる人もいるが、俺はまぁ精々二年程度。でも、そんな精度な俺でも、直近で起きた出来事なら一瞬で事足りる。


「あのトンチキ集団のリーダーの記憶を予め抜き取ってきました。今まで表立って活動してこなかったのに、急に本拠地とも言える皇居にまで押し寄せてきた────まぁ怪しいわな」


「確かに」


「普通に考えてもおかしいし、そもそも各務に喧嘩売ることすら恐ろしいしな」


「主殿を敵に回すような行いをするやつはただのバカでござる」


「こういったヤツらにはまぁ大体裏があるのが普通でな………いや、うん、ごくごく稀に本当にただのバカとかいるけど、大抵は裏があるんだよ」


 例えば、あんまり爵位の高くない貴族がやけにえっっっっっらそうに突っかかってくる時な。そういうのは、大抵裏に闇ギルドとかいるんだよ。洗脳されてるか、上手いこと口車に載せられてるとか、そんな感じ。


 それを、俺はあのトンチキ集団から感じた。これで本当にただのバカだったら『俺の勘も鈍ったかー』ってなるけど。


「さてと、なーにが出てくるかなー」


 超早戻しで記憶をどんどん遡る。


「んで?ちなみにあの人らはどうしたんよ」


「ダンジョンに放置させてる。しかも、目標を達成するか、心の底から自分らが間違っていると思ったら解除される結界付き」


「やることがエグすぎるだろ」


「自分の発言にはちゃんと責任持たないとね。俺は根拠の無い馬鹿げた話が一番嫌いなんだ」


 魔物と仲良く?そんなの無理に決まってるだろ。本能から自分とは違う種族のことを殺すことを刻まれてるような奴だぞ。


 それこそ、『モンスターテイマー』みたいな稀有な職業でも存在しない限り無理だ。


「『話し合えば分かる?』『誠心誠意向き合う?』ふざけんなって話だよ」


 そんな綺麗事が存在するなら────あの子は死ななかったんだよクソが。




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はぁはぁ……VRChat……!面白すぎるッッッッッ!!!!!!

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